こんにちは。中学受験100%ウカルログ管理人ことハンドレッドの友ですよ。
本日は受験マンガのレビューとなります。
思いますよ。基本的にはそう思う下世話な親ですよ。
しかし、中学受験マンガは別でしょう。
「塾メンドくさい」「勉強したくない」「学校の友達は遊んでるのに何で自分ばっか!」みたいな負のループに陥った子どもにとって、最強にして効き目最速のツールになることもあるわけです。
受験マンガを読んでいると「中学受験ってすごいじゃん!」と認識する上、そのただ中にいる自身も「なんだか、誇らしく」思えてきたりもするでしょう。
なおかつ、ストーリー運びによっては「勉強できる子は最高にクール!!」に思えてきたりもするでしょう。
もちろん、中学受験初心者の親にも、学校選びに迷う親も、成績上がらなくてモヤモヤする親にも、有用となりましょう。しかも、中学受験マンガはハズレなしのジャンルです。ハズレなしとは、大人が読んでも面白いということ。
というわけで。
たまには熱い、熱い受験マンガに親子ともども浸ってみるのもよいでしょう。子にとって、親がマンガ仲間になることほど嬉しいことはないのですからね。
中学受験で子のアスリート魂を目覚めさせる!?―――『ゼロからの中学受験 ザ・コミック』
この後、紹介するマンガに比べ売上部数が低そうなのも、その宣伝臭をかぎ取ってのことでしょうか。個人的には続刊を期待していたものの、シリーズ化はないようで。
実のところ、日能研が出てくるのは冒頭の記事部分くらいなものです。中身は非常に読ませるマンガです。ジャンル的にはスポ根のごとく。
アスリートのごとく集中力を発揮し、学力をぐんぐん上げる主人公に、感化されやすい小学生は読後ただちに勉強を始めましょう。
少々、大げさすぎました。ともあれ、本マンガでは中学受験の「ち」の字も知らない転校生が、進学塾の先生に見いだされ、最難関中学を目指します。
その設定、その過程で塾のシステムやら模試やら中学受験本番までの流れ、効果的な勉強法、過去問対策までをこれでもかと網羅しています。
しかし、ストーリーはまったく死んでいないというこの離れ業。これだけの内容をよく1巻でまとめられたものだと作者に感服しかりです。
勉強の才能(?)あふれる主人公はもちろん、クールで無口なライバルの少年と人物もなかなか光ってますが、個人的にはクラスを牛耳るごつい顔した受験組グループ(最初しか出てきません)がお気に入りでした。
最難関志望だろうと小学生とはおバカなのです―――『セキ☆ララ 中学受験』
そう、初版は2009年。作者の今日マチ子自身の実体験をもとにしたものです。世の中学受験生に10年以上読み継がれてきたマンガですね。
作者の志望校が女子学院(のちに合格)のため、塾友も筑駒、麻布、雙葉あたりを狙う成績優秀者ぞろいです。これが仮に大人目線の書物ならば、「わが子とは何かが違う『賢い子』カテゴリー」に埋もれ、さほどビビッドな感じもしなかったでしょうが。
しかし、難関志望者といえど、子ども目線で見てしまえば、どの子も横並び。
わが子と大差ない、おバカな小学生カテゴリーにくくられるわけです。
「電流の直列・並列がわからずカンニングした話」やら「本から作文、丸写ししたら表彰されて困った話」やら「防犯ブザーの止め方わからず、地中深く埋めた話」やら。
わが子相手なら激怒しても、人の子なら楽しく聞ける類のダメダメの連続です。
「難関志望者=パーフェクトな中学受験生」という構図をこうもズラされますと、カリカリしがちな親の頭も柔らかくなるってものですよ。
本編には女子学院を目指す「中学受験時代」&「女子学院時代」編のほか、ハンドレッドお気に入りの「ヒデキの受験」編もあり。
女子学院志望者なら絶対に買いの一冊ではありましょうが、私立案内はそれだけではありません。青山学院、鴎友、学習院、巣鴨などなど46校に渡る学校紹介もあり、受験の最後の最後まで重宝いたします。
実は「親の愛」にあふれた中学受験―――「中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ」
これは泣けます。
中学受験のアンチ意見として「小学生なのに勉強ばかりで可哀想」とか「所詮は親のエゴじゃんか」みたいな声はありますし、確かに、確かに、そりゃそうだという気もしましょうが煎じ詰めればそこにだって「親の愛」はあるわけです。
で、このマンガ、それを再認識させてくれます。中学受験を終えてしばらく経ちますが、今読んでも泣けてきます。
さすがに子に見られるのは恥ずかしいわけで、読む時と場所を選ぶべきマンガと思いますね。とはいえど、娘もこれは(も?)大好きで購入直後は奪い合いになりましたが。
さて、本マンガには最難関志望の子や中堅校、公立中高一貫校志望の子など4家族が登場します。それぞれの受験こと始めから、「成績上がらない」あるあるやお金問題や親の葛藤、悲喜こもごもの合格発表まで。
今回紹介した中でもっともリアルに近い気がするのは登場人物が普通にいそうな人たちだからでしょうね。
「優秀女子⇔勉強しない男子」「中学受験をやめる、やめない」「共働き家庭」「シングルマザー」などさまざまな視点、さまざまなケースを描いているのでその名の通り、中学受験初心者にも全体像をつかみやすいです。特に「受験当日」のくだりはハラハラします。当日の緊張感が肌で伝わってきますよ。
↓こちらは新装版。中身は多分おなじ。
中学受験は難関大学への特急券!?――『二月の勝者』
1巻が出た時「これは面白いぞ!」と目利きの感でいましたがもはや今さら。知らん人はいないでしょう。
特に最初の方の巻は勉強のコツも盛り込まれているため、親があれこれ言うより、これを読ませた方が成績もアップしそうです。
実は、先の『中学受験をしようかなと思ったら読むマンガ』と『二月の勝者』は同じマンガ家(高瀬志穂氏)の方です。
前者は原案者が別にいますがね。『中学受験をしようかな~』も名作でしたが、本書はエンタメ性がさらにパワーアップしてまし。
絵そのものは『中学受験をしようかな~』は軽めのタッチ、『二月の勝者』は劇画タッチです。
両者ともプロットは王道ながら、『中学受験をしようかな~』は友達になれそうな人物多め、『二月の勝者』は友達にはなれなさそうな人物が主人公。
前者は完全親目線ですが、後者は塾講師目線。前者は親の感情が入りますが、後者の方がよりシビア。視点の違いで子どもはこうも変わるかと身につまされましょう。
加えて、『二月の勝者』は王道ストーリーに飛躍と毒が混じるような感じ。そもそもターゲットが違いますし、単発ものとシリーズものとの違いもありますがね。
両者ともノイローゼ気味の子どもが登場するものの、同じハッピーエンドでも『二月の勝者』にはそこはかとない闇が残ります。一方で、ほろりとさせられる場面も多々あります。
『二月の勝者』は言ってみれば、中学受験×『女王の教室』や『家政婦のミタ』のような感じでしょうか。
主人公は「生徒全員を第一志望に合格させる」ようなトップ講師。
「生徒は金脈」「親はスポンサー」「受験は課金ゲーム」みたいな畜生セリフを吐き、周囲からも「油断のならない人物扱い」されていますが「本当はいいやつなのでは?」的な展開も見え隠れするのです。
なお、「中学受験は難関大の特急券」というセリフは好き嫌いはあるでしょうが、言い得て妙と思いましたね。
実に、ありえそうです。
しました。
なお、本マンガは4巻くらいまでは毎回、違う生徒にスポットを当てる形式で「中学受験の一年間の費用」やら「大学受験改革の概要」など情報部分もがっつり入り込んでいます。
NO.1講師だけはあり「成績を上げる」「出来ない子をやる気にさせる技」にも長けていますから親の参考にもなりましょう。
シリーズとして現在19巻目(23年10月現在)。2月の勝者がぞろ出てくる頃ですが正直終わって欲しくはない。結果は気になりますが『ドラゴン桜』みたいに続編が出て欲しいですね。
しかし、大人がそうなのですから子どもだってハマります。受験生がハマるリスクを考えると、巻数は少ない方がいいのかもしれず、それがなんとも悩ましいところでしょう。
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