こんにちは。中学受験100%ウカルログ管理人ことハンドレッドの友です。
吉祥女子熱望組の方、お待たせいたしました。頭脳系作業をいとい、ズルズル先延ばしにしてきた吉祥社会の過去問シリーズです。25年度から30年度までチェックしました。
今回は入試でも最初に出題される歴史編をお送りしましょう。
さて、わたくしは親みずから吉祥社会を解きました。そうして、正誤問題までチェックして、該当箇所に資料を貼り付け、過去問の参考書化を試みました。
「あっぱれ!」というよりもその過保護っぷりに、今となっては「薄気味悪い」気すらしましょう。が、それを読み込んだ娘は大幅に点数を上げ、2月1日に合格しました。
だからいいのですよ。「薄気味悪い」と言われようともね。
先に断っておかねばならないことがひとつ。親が解き、参考書化したのは子の間違い部分のみでした。
そりゃ解かないでしょう。塾の先生でもあるまいに、正解部分まで解くわけはないでしょうが。
幸い、娘の点数は70点満点中半分程度、ひどい時は20点代というありさまでした。その正解は吉祥志望者なら誰もが正解となるようなところのはず。
なお、分析のコツなどは他校の方にも参考になるかと思います。社会は他教科に比べ、過去問傾向のつかみやすい科目ですよ。
マイナーな義家も2年連続で登場!?過去に登場した人物は要チェック
まずは、歴史の漢字指定問題です。「文中の下線部㋓とは何か?漢字で答えよ」みたいなやつですね。
まず人物や事件でいえば「東条英機」「蘇我馬子」(30年度)「最澄」「応仁の乱」(29年度)「卑弥呼」「平塚雷鳥」「後鳥羽上皇」「源義家」(27年度)とかですね。
そう、たまには拍子抜けするくらいの基本問題も問われます。が、その一方、まれにトリビア的人物が登場します。27年にフルネームを尋ねられた「源義家」です。
うそをつきなさい!義家は中学受験レベルでは出場回数の少ない人物のはず。
11世紀後半に東北地方で豪族の2度の反乱を鎮圧した武士で東国の基盤を築いた人物らしいです。いかにもそのまま書き写した文章っぽいでしょう。
実をいえば、わたくしは日本史に疎いです。大河ドラマも見ません。念のため、さまざまな参考書を探してみましたが、彼についての記載が見つけられたのはわずかに一冊のみ。しかも一行情報程度でした。これは正答率が低かったと思いましょう。
しかし、翌年の28年第1回目、記号選択問題で義家はまたしても登場。
『平治物語絵巻』は、ともに上皇側の臣下であった平清盛と源義家が対立して京都で戦った、平治の乱について描かれている。
今、ふーん、とか読み流したあなた!
違いますよ、間違いですよ。平清盛と戦ったのは源義朝ですよ。
義家は11世紀後半に東北地方で豪族の2度の反乱を鎮圧した武士で東国の基盤を築いた人物だと数行前に書いたばかりでしょうが!!
このように、吉祥の記号選択問題にはさりげなく間違いが挿入されてきます。注意力が必要です。
ついでに類題つながりでいいますと、25年第2回には「平清盛が源義朝を破った戦い」として「平治の乱」を答えさせる問題がありました。
ここがもっとも大事なところなのですが、
吉祥社会は過去に登場した人物や出来事が別の形で再登場することが非常に多いのです。
主役が脇役になったり、脇役のその友達が主役になったり、1点問題だった小人物が2点問題に昇格していたりですね。そういう視点で問題を見ると、ストーリー性があってなかなか面白いですし、見知らぬ義家でさえ愛おしくなりますよ。
メンドくさい漢字を持つ人物は最優先で
義家はともあれ。フルネームで聞かれるのは、だいたいがお馴染みの人物です。しかし、「蘇我馬子」も「卑弥呼」も漢字でしくじっては泣くに泣けません。「お馴染み」&「漢字のメンドくさい人物」を優先的にチェックするのが望ましいです。
あとは天皇や上皇は頻出です。「桓武天皇」「後鳥羽上皇」「雄略天皇」「聖武天皇」あたりは、ここ4、5年で出題されています。
わたくしはもはや誰が誰やらわかりません。
天皇は何かの拍子に名が変わったり、男だと思っていたら女だったり、そういうことがままあるので、苦手女子は一覧にしていつも、いつも眺めましょう。
人物名や事件名同様、歴史用語も難しめの漢字が出ます。
「黒曜石」「須恵器」(30年度)「盧溝橋」「朱子学」(29年度)「銅鐸」「町奉行」(28年度)「雑徭」「両替商」(27年度)
「朱子学」や「両替商」はともかく「盧溝橋」「銅鐸」「雑徭」あたりは、練習しておかないと書けなさそうでしょう。
ところで、30年度第二回に出た「須恵器」。何ですか?これは。塾のテキストでも、参考書でも、こんなの、見たことありませんよ。
ハンドレッドだって知らないくせに。昔からあるものですか? 今年、出土したものではないですよね?
古墳時代の後半から日本でつくられた陶質の土器。祝部土器(いわいべどき)とも呼ばれた。青黒色,硬質で,弥生土器や土師器とはその系統を異にする。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
だそうです。
ちなみに、娘に聞いたら「知っている」と言いました。「吉祥の授業で習った」と。「あ、でも、中学受験の時にも習った気がする」。「でも、違うかも。忘れた」と。
中学受験においてはきっとトリビアです。そういうことにしておきましょうね。
歴史は満点防止問題が出ます
吉祥の場合、その答えはまんべんなく、としか答えようがありません。旧石器から現代までまんべんなく出ます。逆にいえば、中学受験生が手薄になりがちな「旧石器から弥生時代あたり」と「戦後史」はしっかりやった方がよいでしょう。
そうそう、先の「須恵器」も「黒曜石」も「銅鐸」もそうですが、遺跡とか土製品とか当時の風習系の出題は問一か問二あたりの記号問題でもよく出ます。かなり、見ます。
弥生時代と古墳時代の違いとかね。稲作の道具とかね。『魏志倭人伝』とか中国とのつながりとかもね。女子には特にピンと来にくい分野ではありますが、この時代、覚えることはそう多くはないはず。
あなたもね。
「覚えることは多くない」と書きましたが、授業では結構さらりと流されますね。一方、吉祥の古代史はテキストの暗記事項には載ってないような情報もたまに出題されます。かろうじて歴史資料集に1行くらい載っているようなものもね。あるいは、載っていない場合もですね。
標準レベルの問題の方が多いとは思いますよ。
ただ、「満点防止対策だな」という問題は「歴史」で出やすい気がしましょう。それは古代史に限らずです。
先の「源義家」もそうですが、源平合戦の一つである「倶利伽羅峠の戦い」があった場所を尋ねてきたり(29年度2回)ですね。たまたま私が知らんかっただけ、という可能性も否めませんがマニアックすぎでしょう。
ただ、こうした問題はみんな出来ません。
出来ませんけど、標準問題に混じって出されますと「解かなくては!」バイアスが掛かりましょう。
ことに吉祥社会は例年、「歴史」が最初に出題されます。問2あたりで「トリビア問題」が出てきた日にはパニックになるお子さんもいるはずでしょう。
そのあたりは、先に言い聞かせておくとよいかもしれません。
記号選択肢は正解以外も復習すること
資料といえば、過去問で一度出てきた絵巻物であったり、土器であったり、建築物であったりは、必ず確認しておきましょう。
例えば、前述の源義家が登場する記号選択肢には他に、次の一文もございました。
“『蒙古襲来絵詞(巻)』は、御家人の竹崎李長が参加した、文永の役や弘安の役について描かれている”
28年度第1回の記号選択肢で内容は合っています。
続き、30年度第1回の記号選択肢でも
“竹崎李長が元寇での手柄を記録するために作成したと言われる『蒙古襲来絵詞(巻)』には、元軍の集団戦法や火薬兵器「てつはう」の様子が描かれている”
とありました。
同じ30年度第1回には竹崎李長が参加した「弘安の役」を書かせる問題も出ております。
28年度の選択肢を粘着して復習しておけば、2つとも取れる問題でした。
そこを流さないのです。正解以外もチェックしましょう、という話です。
そりゃ大変です。けれど、吉祥第一ならば、直前期の社会は過去問以外やらなくていいくらいだとも思います。
過去問をしつこく、しつこく、しつこく、「ここまでやった人間はいない!」くらいの状態まで持ち込むことができれば、社会で他教科カバーも夢ではないのですよ。
稲作とか税と労働とか、教育史とか脇からの出題も多い
さて、先の稲作や古代の風習問題もそうですが、吉祥は時代で斬るより、テーマで斬っていった方が傾向が見えやすいです。同じように盲点になりがちなところでは、税&労働系、教育系がらみの出題がありましょう。
税・労働系とは先の『雑徭』しかり、国に収める税金3セット『租・庸・調』であるとか、その際に使用された『木簡』。これらすべて過去に出題されています。
教育系はもっと後の時代になりますが、教育機関ですから生徒に興味を持って欲しいのは当然と言えば、当然でしょうか。
ここ5、6年では明治時代の『学制』や『学校令』あたりが出題されています。
教育史は意外とまとまったものが少ないのですが、
が簡潔でわかりやすく、受験時はこれを読ませました。
あとは盲点になりがちなところで言えば、戦後史も重要です。
「日ソ共同宣言の時の首相」「沖縄返還の時の首相」などの類はよく出てましたね。ちなみに、吉祥の先生は佐藤栄作がお好きなよう。記号問題に栄作がらみの記述を見つけたらニヤニヤしてください。
出ます。特に江戸の三大改革あたりは記号選択で重箱の隅つつくような問題が出ます。私は何度か見ましたし、しっかり区別して暗記することが肝心です。
三英傑だったり、武田信玄など歴史の有名人は時々出ますが、これぞ「歴史の本懐!」的な人物や事件は比較的取り組みやすいでしょう。長文になってしまいそうなゆえに触れませんでした。
ただし、他の分野にも通じていえることですが、記号問題はテキストの最重要事項よりも一番薄い字で書かれているようなニッチな情報を出してくる印象があります。
とにもかくにも、間違えた問題や記号選択肢の文章はしっかり読み込みましょう。そこに入試のヒントが、必ず、必ず、隠されています。
文字通り、歴史は繰り返すのですよ!