中学受験の算数

「同じ問題を永遠に間違い続ける」中学受験生について

子どもの勉強を見るとムカムカしてくる話でも触れましたが、わが子は「同じ問題を永遠に間違え続ける現象」をたびたび起こしました。特に2回連続で間違えた問題は何度復習しても、また間違えました。

それが、あまりにもひどいので学習障害を疑いたくもなりましたよ。

https://100ukaru.com/angry-mother/

しかし、どうやら、この手の子どもはそう珍しくもないらしいのです。親のムカムカの直因ともなる同現象について、考えてみることにしました。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
永遠か……。オレの好きな言葉だ。

エビングハウスの忘却曲線はウソだと思います

エビングハウスの忘却曲線というもの、塾などから聞いたことがある方は多かろうと思います。

覚えたことを人間が「いかにさっさと忘れてしまうか」、時間の経過と忘却とをグラフ化したものですね。

これをベースとした復習方法は単純な暗記モノに留まらず、近年、受験業界の定石となっていますね。

覚えたことを忘れないためにはまず、「今日のうちに復習する」。

そうして、「翌日にもう一度復習する」。

「その一週間後にまた復習する」。

そうして、「一か月後にまた復習する」

期間をおいて、計4度の反復が大切。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
さすれば、短期記憶は長期記憶となり、成績は必ずや上がることであろう。

おっしゃる通りのハンドレッド先生。しかし、おっしゃる通りとは言えないエビングハウスの忘却曲線。いえ、正確にはその復習方法を提唱した人でしょうか。

反復は確かに大事です。

けれど、中学受験の現実ときや、反復しても、反復しても、ダメなことも多いとは思いませんか?

たった4度の反復で成績が安定するならば、受験生もその親も苦労はないと思うのです。

 

昨日できた問題が今日になったら、またできない

6年の春以降、わが子の塾では早々に入試演習に入りました。

その中に、第一志望である吉祥女子の過去問もありました。大問の一部ですが、早々にやらされたことに不満も感じましたよ。本格的に解く際に、初見ではなくなるわけですからね。

が、もっと不満に感じたのは、5年生でも解ける問1以外、5問中4問が不正解であったことです。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
6年初期なら解けなくても仕方あるまい

おっしゃる通りのハンドレッド。とりあえず、直しだけはしっかり行うことにしました。

エビングハウスの法則に則り、その日にうちに復習し、翌日もう一度解かせてね。もちろん、全問正解です。ここまでは問題ございません。

 

その次は一週間後と言わず、5日後に反復しました。一週間では間が空き過ぎると思ったためですが、またしても、最初の1問しか解けませんでした。

その2日後にもう一度解きました。この時は全問正解です。さすがに答えを覚えていたのかもしれません。

 

それから1週間して再チャレンジしました。

また、最初の1問しか解けませんでした。

 

3日ほどしてまた解きました。今度は全問正解でした。

翌日、また、解きました。

また、1問しか解けませんでした。

ここでは私がいかにムカムカしていたか、どんなにか地獄の使者気分だったかは省きましょう。

その後も数週間に一回くらいの頻度で同じ過去問の問題を解き続けました。スマホ前のあなたが思う通り、なんだかもうヤケクソです。そこまでして解き続ける意味はないってものです。

ともあれ、夏の終わり。

「わかった!わかってきた!」

 

非常にいまさら感のある言葉を子どもが口にしました。

 

さて、6年10月。いよいよ、その問題の入った過去問を解く日がやってきました。既に十何回と繰り返していますから正解は当然。その大問は丸々点数を引くつもりでしたよ。

が。

 

 

またしても、最初の1問しか解けませんでした。

 

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
…………。
ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
……………。
ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
……1週間後の復習を5日後にやったのがまずかったとか?

そんな融通の利かない法則などいりません。とにかく、わが子はその程度の反復では足りなかったということです。

いえ、正確にいえば反復の回数が問題なのではなく。

3回の反復でマスターできるようなものは、そもそも1回の反復で足りるのです。

ひるがえって、1回目、2回目と連続して間違えた問題は4回どころか40回やっても間違えるということです。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
根本理解に問題があるのでは?

結局、そういうことでしょうが、親としては一つ一つ丁寧に確認しながら一緒に解き直してきたつもりなのです。

この現実はエビングハウス好きな塾の先生にはなかなか理解しがたいでしょう。

「やっても、やっても点が取れない」保護者の悩みとどんどん乖離が生じるでしょう。

「繰り返し練習しましょう」なんて無意味なアドバイスを受け、家路につく羽目になるわけです。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
永遠に繰り返し練習しましょう。

ハンドレッド先生のおっしゃる通りでしょう。

永遠に間違い続ける現象の、その要因は今もってわかりかねます。しかし、愚痴だけで終わってはウカルにつなげられません。当時を振り返り、問題点を考えていきたいと思います。

「常に解けない」より「解けたり、解けなかったり」の方がなお悪い!?

子の勉強を見るとムカムカの項でも書きましたが、4年生の頃、還元算(逆算)を11か月くらい解き続けたことがありました。

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計算ですからそれほど時間はかかりません。多い日は一日10問、少ない日は1、2問。第一志望の吉祥女子では頻出ゆえ、早めに仕上げてしまおうと考えたわけです。

しかし、娘はよく間違えました。正答率は4問中2問、悪い時は1問とか。

逆算のルールが定着していないのでしょう。ホワイトボードで何度も何度も説明し、自前の逆算ルールカードを作成しました。

「もし、ルールを忘れたら小さな数で試しなさい」、繰り返し言って4年の夏には整数の還元算、小数の還元算は取れるようになっていました。

が、分数の還元算はいつまで経ってもできません。

進学塾では4年で習う分数の割り算ですが、多くの小学生の鬼門です。割り算なのにひっくり返して掛け算をする。

一方の還元算、移項すると割り算は掛け算になる。掛け算にはなりますが分数をひっくり返してはならない。子はやがて、混乱するでしょう。書いている私も混乱し、読んでいるあなたも混乱するでしょう。

まずは分数の割り算を完璧にすること。導き出されたのは素人でもわかる判断です。しかし、完璧にしたつもりが還元算になるとまた間違える。ひっくり返す必要のないところで分数をひっくり返したりするのです。

しかも、常にではないのです。

気まぐれにひっくり返したり、ひっくり返さなかったりするのです。

算数の成績が芳しくない子というのは、このように気まぐれに問題を解くのです。

そこにセオリーはないのです。

気まぐれが合っていて、たまには満点も取ります。

たとえば、ある時、塾の模試で成績優秀者一覧に乗りました。正答率20%程度の還元算が解けていたおかげでした。

が、この正答こそたちが悪い。

みんなが解けない問題を解けた!「当然クリアー!自分ジーニアス!」と思うはずです。

未だ苦手と誰が想像するのでしょうか。

塾の先生にも「還元算ができない」というと、首をかしげられたくらいですからね。

子の方は「わたし天才」くらいな顔をして、そうこうするうち事態はどんどん悪化する。満点取ったと思えば、ある日の点数は半分以下。

気まぐれなルールで問題を解く者はどれだけ量をこなそうと本質的な力などつかないのです。

あまりの出来なさに還元算を放置した母、その結果は……!?

「ルールを整理してから定着させる、そのプロセスが足りないのでは!?」

あなたはそう思うでしょう。私もそう思ったわけです。

40行くらい前にも書きましたが、そう思った私は「基本ルールをホワイトボードに板書」しそれをノートに取らせ、「自前のカードを作成」し、「ルールを忘れたら小さな数で試しなさい」、そんなことを何度も何度も繰り返したわけです。

しかし、定着しないのです。それ以前に授業で習っているはずなのです。いったい全体何が起こっているのでしょう?

考えても答えは出ませんので、「すべてを一旦ナシ!」にして心新た、また説明し直します。

「怒り爆発→一旦リセット」の繰り返し。11か月間で10回くらいはルール定着を試みました。この回数がエビングハウス的にはどうなのかは知る由もございません。

さて、結論から言いますとその後、還元算とは手を切りました。

5年のGWくらいでしたかね。私の方がイヤになってしまったのです。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
で、どうなったよ? 永遠に間違えるからには今も解けないんだろうな。

こればかりはタイトルに偽りあり、でしょう。

あれほど手こずっていた還元算の割り算も5年の終わりには普通に解けるようになっていました。

アホにはアホなりの「腑落ち」のセオリーがある

さて、ハンドレッド先生。ここから導き出される真理は何でしょうか。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
アホにはアホの頭なりのセオリーがある。無理に解き続ける必要はない

ハンドレッド先生のおっしゃる通り。たまにはいいこと言うではありませんか。わが子とはいえ他人の「腑落ち」タイミングなど測りかねますからね。

わが子の還元算のようにどこかわからない未来の中で突如理解することもある。

別の単元を学習する中で何かヒントを見つけたのかもしれないし、学習のステージが上がることで簡単になったのかもしれません。

あまりに自然に理解して、できなかったことすら忘れている可能性もありましょう。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
件の過去問も自然に理解したのか?

それは何とも言えません。

できるようになったのか、できないままだったのか、結局のところ、わからないものもあるわけです。

中学受験からとうに離れた今となっては、また1問しか解けないような気がします。

「わからないものをわからないままにしておく」という勇断

さて、私の出した結論です。

塾の授業中、あるいは最初の復習で理解したもの、出来たものならば反復することで長期記憶となりましょう。

しかし、今日できず、明日できて、明後日には忘れて、その後も出来たり、出来なかったりの繰り返し。

これはおそらく反復のムダです。もうやらなくても結構です

ただし、ここに母にとって最大の難局が隠れています。

「わからないものを、わからないままにしておく」。勉強の鉄則とはまったく逆のことを言っているわけです。

だからこそ、私は11か月も還元算をやらせ続けたのです。

ハンドレッド先生
ハンドレッド先生
できない子に11か月もやらせ続けた母。いかにも児童虐待っぽいな。

別の項では「バカすぎてムカムカする」みたいなことを言ってたくせに、なんとまぁ日和見主義な。しかし、当たらずとも遠からずですね。

「二度間違えた問題を永遠に間違える現象」で一番厄介なのは親自身にほかなりません。

私が言うのですから間違いはありません。

「子の勉強を教える親」の最大のデメリットは今すぐなんとかしたくなること。

今日の今日、できないからこそ怒りも沸く。

理解を待つことが出来ないのです。

けれど、画面の前のあなた。パソコンかスマホかタブレットの前のあなた。私は出来なかったけれど、あなたならきっと出来ましょう。

「何度やっても子の理解が乏しい」のは、塾の授業が悪いのでもない。あなたの子どもが悪いのでもない。ましてや、あなたの説明が悪いのでもない。

ただ、このタイミングではないのです。

ですから、別のことに勉強時間を費やしましょう。すでに「腑落ち」したものを絶対に忘れないようにすること、そちらの方がよほど大事です。

もう6年、間に合わなかったらどうするのか? そんな声も聞こえますね。

大丈夫、わが子も出来たかどうかはわからないまま、しかし、受験には合格しています。

それでも不安でたまらないならスーパー家庭教師にでもいっそ頼んでみましょうか?

私だって、いつかの日、「還元算のため」だけに個別指導をつけようかどうか、真剣に迷ったことがありました。結局、やりませんでしたがね。

https://100ukaru.com/many-texts2/

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20XX年2月1日、中学受験・全勝組のマザー。 とはいえど、偏差値60台を目指しているのに「志望校の合格可能性20%」「何回やっても過去問が取れない」「何か月やっても理科の偏差値40台」の連打でありました。同じように絶望気味のあなたにこそ読んで欲しいブログです。 ※本ブログをkindle書籍化した「足りなくても勝てます」が子育てジャンルで1位を取りました!