過去問対策で圧倒的需要があるのは算数でしょう。
しかし、その期待値に反し、タイトルで想像がついた方も多いことでしょう。「親が調べてみた算数」。意味するところは、親も解いてみようと思ったけれどもようようとして解けなかった、だから、調べてみたということ。
目的は、吉祥算数の出題傾向をつかむことです。
結論からいえば国語や社会のような「でかしたぞ!ユリイカ!!」のような発見はありませんでした。最終的に娘の算数力が上がったのは95%塾の先生のおかげでした。
けれど、親として算数の過去問対策には圧倒的な時間を費やしてはいたわけです。国語を1とすると算数は10くらい。
わずか5%のために、いったい、私は何をしたのか?
以下はそのほとんどはムダであった作業を書くという試み。
逆に言えば、たまには「役立つ過去問情報」もあるかもしれませんよ???
ムダその1:過去問の出題を書き起こす
まず、平成21年度から28年度くらいまで、手書きの出題ノートを作りました。
たしか5年の冬くらいのことだったと思います。
27年度第1回
大問1
(1)還元算
(2)還元算
(3)のりしろとテープの長さ
(4)数の問題 ABCDが合わせて150、4かけて4割ってetc…が等しいAはいくつ?
~~~
大問2 整数の和の規則と場合の数
(1)5をいくつかの1と2の和で表すと何通りか?
(2)△を ~同上~
みたいな感じ。
どのような問題が出たか内容を書いていったわけですが、再び書き写していた今、非常に退屈な気分になりました。
読んでるあなたも目が泳いだことでしょう。
つまり、その程度の情報なのです。
ノートに記すことで「傾向がぼんやりとでもつかめてくるのでは?」と期待したりもしたのですが、そもそもが『問題が解けない=出題意図を理解できない』ジレンマがあります。
多少なりとも受験算数の素養がある方がやるなら別かもしれませんが、解けない私がやるのはムダ、中学受験という枠にとどまらず、自分の人生の中でももっともムダな時間の使い方をしてしまったと後悔しています。
先の問題内容をマジメに読まれた方は「還元算がよく出るの?それこそが発見では?」と思われたかもしれません。
はい、吉祥の計算問題は近年、還元算しか出ていません。しかし、この程度なら手書きノートを作るまでもなく、赤本めくればわかること。
結局、書き写したことに満足し受験中はほとんどノートを開くこともありませんでした。
同様に理科の問題も書き写したのですが、こちらの方はほとんどどころか、まったく開くことはありませんでした。
ムダその2:単元別過去問ファイルを作成する
次に私がやったのは19年度から28年度の過去問を「速さ」「数の性質」「平面図形」「立体図形」「文章題」「場合の数」など単元別にファイルすることでした。
その意図はといえば
1.吉祥で配布された入試問題や赤本をコピーする。
2.単元ごとに切り取る。
3.ルーズリーフに貼る。
ただ、それだけのことなのですが、休日にぶっ続けでやっているとあまりの単調さに「自分が生まれてきた意味は何か?」、その存在意義を問いたくなる衝動にかられました。
なお、理科でも同じことをダラダラとやっていたので、完成するまで数か月ほど要するというパフォーマンスの悪さでした。
結論から言えば、同じムダでも程度の差はあるということで、先の手書きノートに比べればまだ使い勝手はありました。
実際の問題を並べることで「ああ、こんな感じなのね」といった肌感覚は掴めますし、なにがしかの「吉祥算数っぽさ」は把握できます。
また、「5年前に出た問題がまた出ている!」、これぞ醍醐味的な発見も「たまに」ありました。しかし、あくまで「たまに」です。
その発見は何年度の何回目ですか?
あなたはそう思うことでしょう。
当初問題を並べてみるつもりでしたが、大っぴらにやり過ぎるとお咎めがきそうです。
内容をカエルのハンドレッド先生に説明してもらうことにしました。
表面積しか出ない!と思っていたら、やおら体積
このように類題が並ぶと過去問を遡ってやる気になるでしょう。
が、吉祥の算数はこうしたパターン問題はわずかです。
見落としている可能性もありますが、出てきたとしてもこの20年であと1、2題ってところでしょう。
分野にしても、吉祥算数はヤマをかけられるほど明確な出題傾向はありません。
「場合の数」は他校に比べ少なめですが、その他はまんべんなく登場しますよ。
単元ファイルを作った際も、単元別の厚みはほとんど変わりませんでした。
図形においては「表面積が多い、体積はほぼ出ない」と少し前の過去問分析サイトで見かけたことがあります。
今でも表面積ばっかりです。
けれど、体積がひょっこり出る年もある。
油断してはならないのです。
一方で、吉祥っぽいよな、という問題はあります。
当初、「吉祥っぽい」過去問画像をずらずら並べてみようと思っていたのですが、なにぶん在校生の親という身の上。著作権問題で学校からお呼び出しが掛かってはシャレになりません。
ハンドレッド先生に吉祥の図形問題を見てもらうことにしました。
そうでしょうとも。
しかし、過去問分析において「斜めった図形が多い」「なにやらグルグル回っている感じが多い」という情報はほぼ意味をなしません。
大切なのは出題の肝なのです。
ハンドレッド先生は他の入試問題で「斜めった図形」を発見しようものなら「これは吉祥に似ている。やらせよう!」と意気込んでしまうクチでしょう。しかし、見た目は似ていても実は出題の肝が違っていたり、なんてこともあるわけです。
とはいえ、見た目で判断できる可能性は残されていますから図形問題はまだいいのです。
今度は「速さ」の問題をハンドレッド先生に見てもらいましょう。
おっしゃる通り。
ハンドレッド先生はあまり役に立たないようです。
かくゆう自分も「なんだか面倒そう」以外の分析(感想)が浮かびませんでしたが。中学受験、「速さ」が出るのは当たり前、「速さを使ったどういう問題が出るのか?」を細分化してこその過去問分析です。
そのためには、解かずとも、せめて読まなくてはなりません。
その通り、ハンドレッド先生は率直なカエルです。
私は彼よりは少しだけ勤勉なので赤本の解説を読みます。
そこで「速さに規則性が絡んだりしてるっぽい」などとわかることもあります。
わかることもある??
そう、わかるだけなのです。
仮にお子さんがこの大問を取れなかったとしますよね。
じゃあ、類題をやらせましょう。そうしましょう。
しかし、子に類題をやらせようにも、その問題を解いていない、読んですらいない人間が「速さに規則性が絡む」類題を探すのはきわめて困難なのです。
さらにいえば、その子は「速さ」はわかったけれど「規則性」でつまづいたのかもしれません。だとすると「規則性」に関するトレーニングを積むべきなのですが、単に「規則性」といっても等差数列やら等比数列やらフィボナッチやらいろいろありますでしょう。
そこを明確にしないことには「過去問対策の意味=時間がない中で勉強の効率化を図る」前提そのものが崩壊しますでしょう。
ハンドレッド先生の言う通りです。
その正論を武器に何度途中でやめてしまったことか。
そうして、子は変わらずにチンケな点数を取り続けます。
「これではマズイ」と冷静に思うのか、「もういい!わしに貸せ、わしが解く!」と怒号の勢いになるのか、その時々によりますが、やめた分析を再び始める日が来ます。
どっちつかずのフラフラ状態で、しかし、単元別ファイル作成には手間ヒマかけすぎる。
読み解きを怠り、視覚化中心にやってみた過去問分析はわずか。
せっかくですから、そのわずかを皆様に、「速さ」ファイルのはじめにあった気づきメモを記しておきましょう。
・3人バージョン多い。ジョギングとか山登り
・通過算と流水算(←一番多い印象)
・池の周りと歩数
・大問で出される場合は前提条件が多い
・25年ごろは1.4倍、5分の4倍などの端数が目立つ(最近は少ない)
・ダイヤグラムは24年以降出ていない????
万一、参考にする際には塾の先生などに確認した方がよろしいかと思います。
過去問ファイル、問題集としての実用性は?
ハンドレッド先生が退出したところで、過去問ファイリングの意図②「単元別問題集としての成果」を発表したいと思います。
ほとんど意味はありませんでした!!
なぜなら、私はファイリングの際、問題ウラに解答を貼る手間を惜しみました。
ニュートン算や仕事算をまとめて解けたとしても、その解答の所在は年度ごとにバラバラ。ただでさえ、時間のない6年後期、解答を探す手間はバカになりません。
なおかつ、赤本コピーを貼っただけですから、字ばっかりのキツキツレイアウトは変わらない。そのままでは解くスペースすらございません。これでは触手も動くまいというもの。
視覚化することの意味がまったくなかったとは思いませんが、自身の存在意義を疑いたくなるほど時間が掛かったことを考えるとパフォーマンスが悪すぎです。
それでもトライしてみようという殊勝な方がいるのならもちろん止めません。ただし、ウラ面に解答はお忘れなく!!
(ムダな過去問対策2へとつづく)
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