はじめにで少し触れましたが、4年の初めから6年最後の面談までわが家の第一志望は吉祥女子でした。説明会には6回以上行きましたし、過去問も20年分以上入手しました。
塾の先生は「とりわけ吉祥愛溢れる親子である」くらいに認識されていたことでしょう。 おそらく、あなたもそう思っていることでしょう。しかし、誤解を恐れずにいえば、実はそれほどでもなかったのです。
「女子学院」と書くのは恥ずかしいから「吉祥女子」と書いた
4年の春、調査票を前に熱望というよりも最初はぼんやりと決めたのでした。母としては「女子学院と書くのは恥ずかしいけど吉祥くらいなら許されるであろう」みたいな気持ちがスタートでした。
しかし、「女子学院」と書くに恥ずかしくない成績には一向にならず、そのような学校のことはやがて忘れ、調査票の「吉祥女子」常連化は久しくなり、そうこうするうちに過去問20年分を入手。算数と理科は切り貼りし、単元別の過去問集も作成しました。6年の6月ごろのことだったでしょうか。
こういうことをしてしまうと、「いまさらこれを使わないのは……」という受験とは相いれないエコ感情が湧いてしまいます。
例えば、広尾学園という人気校があります。偏差値的にはその時点では吉祥と同じくらいかむしろ低かった。しかし、その時点で高騰の予感がありました。
ミーハーな娘はここに吉祥以上のブランドを感じていたように思うのです。しかし、20年分の過去問。母が切り貼りして作った単元別問題集。広尾学園で同じことをやる気力はすでにありませんでした。
そのまま夏休みは終了。あまりの過去問のできなさに「ほんとに吉祥でよいのか???」とフラフラしまくる秋を迎えるのですが、しかし、目の前に15時間くらい掛けて作成した単元別問題集があります。
結局、何を信じたかというと『秋以降に第一志望を変えてはいけない』という受験のセオリー。
フットワークが重くなったこと、機転も融通も利かなくなってしまったこと、意志が固いのではなく、単にネガティブな特性が功を奏し、第一志望合格の最短距離となったわけです。
合格する人は6年夏までに志望校を決める
さて、受験勉強中、娘にとっての吉祥は「ベター」にすぎませんでした。
けれど、現在、吉祥女子は娘にとって「ベスト」となってます。最初はぼんやりと、最後は意地で維持したような第一志望でしたが入ってみると「ものすごくわが子に合っていた」のでした。
結局のところ、なんとなくでも最初に決め打ちしておくと、その学校とは縁ができる方向に流れていくような気がします。
何度も説明会に足を運んだり、過去問を入手したりすることで外堀を埋める、そうやって、自らその方向へと流していくともいえるかもしれません。それは受験に限った話ではないですが。
ちなみに、周りを見る限り、第一志望に合格した人は遅くとも6年の夏までには志望校をフィックスしていました。
過去問を解く時期になるとだいたい、みんなパニックになり志望校変更を考え出すものですが(もちろん、私もそうでした)、パニックになったら上記を思い出してください。
学校説明会にはとにかく行く、たくさん行く
実をいえば、吉祥女子の最初の印象はあまり良くはありませんでした。私は娘の受験中、3年にわたり20校以上、のべにすると30校近くの学校説明会を訪問しています。
正直に言うと、がまんして行っていました。何度もウトウトとし、校長の話が終わるや校内見学をはしょって途中で帰りたくなってしまったことも多々……。つまらない学校が多かったと、いいたいわけではないのですよ。
実のある話もたくさん聞けますし、がまんしてでも説明会には数多く足を運ぶ価値はあります。
行くべきなのです。
学校説明会に行くと「どこも良さそうに思えて迷ってしまう」という方もいるので「どこに行っても早く帰りたくなってしまう」のはフットワーク重く、面倒くさがりやな私自身の資質の問題だと思われます。
ともあれ、豊島岡、鴎友や品川女子、頌栄女子、恵泉女子、普連土あたりは学園カラーが明確で惹かれるものがありました。
(それぞれ学校別の感想が知りたい方は、学校説明会偏差値50編、60編、チャレンジ70編を!! がまんしながら聴くというメンタルだっただけに参考程度の認識でね)
吉祥は「私が!」「私が!」タイプではない?
一方の吉祥女子です。紹介ビデオは「学校から頼まれたらこうなるわな」という制作者の意図が見え隠れするような非常に無難なつくり。
説明会のトーンも自立した女子とかグローバル教育とか「どっか、ほかでも聴いたような……」印象が否めなかったり、「うちの生徒は吉祥大好きなんです!」といった「明るい、楽しい学校」イメージ訴求だったりでこちらの方は耳にはなかなか残りません(とはいえ、娘は現在、この通りの状態なのでした)。
あらかじめ読んでいた学校情報誌などから期待値を高く持ちすぎたせいもあるのでしょう。
吉祥は進学校ながら芸術コースがあったり、音楽や茶道などもプロによる課外レッスンがあったりと特色はあるはずですが、それらに関する発信力もイマイチです。
全体的なバランスはいいよね、だけど「これぞ!」という自己プロデュース力が感じられなかったのです。人知れず得意なことはあるのに、それを言えば注目を集められるのに、「あまり大っぴらに自慢するのはね……」と敢えてアピールしない日本人みたいです。
グローバルに、自立した女性とはいえど、「そこは私が!」「私ができます!」「私に任せろ!」とガンガンいく感じではないのかな、と思ったりもしました。
説明会、お母さんたちがみんな黒かった
けれど、学校説明会そのものよりも、もっとずっと気にかかったのはお母さんたちの服装でした。
みんな、黒いのでした。
外資系キャリア組か? お受験組か?そういわんばかりの、ブラックフォーマル集団が7割か8割か9割か???
いえ、さすがに9割ってことはないでしょうけど、校内見学のグループに振り分けられた時は私以外全員スーツ、私のみヨレたニットにワンピースという体で、かなりいたたまれない気持ちになりました。
説明会で保護者の服装を見れば入学後の予想がつく、そんな情報を聞きかじっていた私はショックを受けていました。
「ここって学習院……?東洋英和……?とかじゃないよね? 吉祥ってもっと庶民マターの私立じゃなかったっけか」
そう思いながら西荻窪の飲み屋街をとぼとぼ歩きながら帰ったきた記憶があります。
(その2に続く)