本日は公開模試シリーズ第三弾「公開模試で合格を導く方法」について。
ここでいう公開模試とは外部模試のことです。早稲アカの子がサピックスオープンを受けるとか、個人塾の子が合不合を受けるとか、主に他流試合を想定しています。
合不合は男女別のデータに強く、サピックスは問題の傾向別データに強い。日能研はやる気引き出す「励まし型」の模試といえ、首都圏模試はやる気が落ちて「絶望気味の時に心強い模試」となりますね。
神は細部に宿るのです、要約ではなくてね。
模試で合格率80%を取るのが目的ではないですよ
さて、最初にはっきりさせたいこと。
われわれの目的は公開模試で合格可能性80%を取ることではありません。
われわれの目的はあくまでも第一志望に合格することです。
時におっしゃる通りのハンドレッド。自分が一喜一憂してきたからこそ、力を込めて言いたいのです。
模試で立ち位置を知ることは大切です。合格可能性80%であれば、これまでの努力が認められたようで感無量。その喜びを存分に味わいましょう。
けれど、模試の役目は「合格の判断材料」だけではありません。模試の価値とはそれ以上のものです。
合格可能性80%がついぞ出ず、20%とか30%を連打しながら全勝した母がいうのです。これは間違いありません。
外部模試はアウェーで「得点する」トレーニング
さて、わが子は5年の9月から外部模試を受け始めました。
大手ではない塾に通っていたため、立ち位置を知りたかったというのが理由のひとつ。
おっしゃる通りのハンドレッド。5年の9月に立ち位置を知りたい親というもの、多くは自信あってのこと。「イマイチ」だってことを知るために、わざわざ受ける親はまれでしょう。
しかしながら。
自信のあったわが家は「サピックスオープン」でコテンパンにやられました。
「サピックスオープン」でコテンパンにやられた我が家は次に四谷大塚の「志望校判定テスト」を受けたのですが、これまたコテンパンにやられました。
その通りなのでしょうが、親は「問題のすりかえ」を講じました。他流試合は偏差値が低く出るのが普通です。
コテンパンにやられたのは「出来不出来の問題」ではなく「模試慣れの問題だろう」くらいに捉えました。
スマホの前のあなたはイライラしていることでしょう。親バカもたいがいにしろ!とね。
ですが、実力はどうであれ、この発想は吉と出たのです。
「自分以外、全員日能研生」というシチュエーション
コテンパンにやられたわが家では、公開模試の目的を「立ち位置の確認」ではなく「さまざまな模試パターン」「さまざまな受験層」「さまざまな場所」での受験に慣れるためと位置づけました。
名づけ方はどうとでも。
わが子が受けた模試は「サピックスオープン」、四谷の「志望校判定テスト」と「合不合」、日能研の「実力判定テスト」と「志望校判定テスト」等々。合不合以外はせいぜい1、2回の受験でしたが。
このうち日能研の「実力判定テスト」はいわゆる月例テストみたいなもので「範囲あり」の模試です。
要は塾生向けテストで、外部生が受けるものではありません。模試の目的が「立ち位置を知るため」であればほとんど意味はなさないでしょう。
けれど、欲しかったのは
「娘以外、全員日能研生。試験会場も日能研」
というシチュエーション。
「アウェーのなかで取れる問題をしっかり取る」
練習のために受験しました。
新聞広告によく案内が載っているやつですね。模試慣れという点では使えると思いますよ。
小学生学力テストは易しめです。「塾に行っていない子も受ける」ため、わが家は当初「順位よくても意味ないじゃん!!」「受ける時間のムダなんじゃん!!」くらいに思い、高学年で受けることはありませんでした。
が、後々その発想を後悔いたしました。
1、知らない子ばかりの会場でテストを受けることの有意性
2、「簡単な問題を決して落とさない」トレーニング
少なくとも「全国統一小学生学力テスト」はこの2つを満たすことになります(早稲アカや四谷の塾生は校舎で受ける可能性もあるため、1の効果はそれほど期待できませんが)。
時間があり、公開模試も少ない4年生、5年生は練習がてら時々受けると良いでしょう。6年になると公開模試は一回につき約5000円、無料の模試の有難みをとくと感じるようになりますよ。
成績が乱高下する子は外部模試を受けた方がよい?
繰り返しますが、ここでいう公開模試とは通う塾以外の模試のことですね。
中には「塾の模試だけで手一杯」という子もいるでしょう。
「それでも受けろ、という話か?」「休みの日の家庭学習を削ってまで?」
そう思うあなたもいることでしょう。
結論からいえば、「受けた方がいい子」と「受けなくてもいい子」とがいます。
テストによって乱高下が激しかったわが子の場合、外部模試は非常に有意義な経験となりました。一方で、塾の模試で十分な子もいます。
おっしゃる通りのハンドレッド。要は「いつ、どこで、だれと」受けようとプレッシャーを感じないタイプの子ですね。
ことに「常に低く安定している」子の場合。模試を受ける時間があるなら、もっとしっかり復習しなさい!!!
一方、外部模試を受けた方がよい子はその逆となります。
子どもが緊張しやすいタイプか、そうでないか?
緊張が顔に出ないタイプの子もいます。そういう場合も、成績の乱高下は環境に左右されやすい証となります。
来る6年2月までに環境に左右されないメンタルを育成するのです。
よって、模試の最大効果はメンタルの育成。
そう考えれば、コケたところで親のメンタルも安心、安全。
冒頭のツッコミとまったく同じですね。
では、私の方は違う答えを返しましょう。
一喜一憂して当然です。「悪い模試は合格のためのトレーニング」などと言われたところで一憂の身には「悪い模試は不合格のためのメンタルトレーニング」と響くもの。
けれど、
模試の結果は「子のできなさ」を決定づけるものではありません。
わが子を「できない子」と思っていいのは親だけの特権であり、たまに受ける模試ごときに「できない子」の烙印を押されたくはないってものです。
それは珍しくまっとうなツッコミでしょう。正論を言えば、もちろん直しはしてください。
模試の目的のひとつは「得手・不得手を知ること」。志望校の傾向と被る分野、正答率の高い分野は必須です。偏差値60を目指すなら正答率30%以上のものを直すとかね。
といいながら、6年後半は過去問の優先度が高くなるため、うちでは直しは殆ど出来ませんでした。算数くらいはやったかなという程度です。
模試の合格可能性、その精度は??
さて、公開模試をいつから受けるか?
前述の通り、「成績の乱高下が激しい」とか「本番に弱いタイプの子」は4年生から受けた方が良いでしょう。「全国統一小学生学力テスト」のように無料のものでいいと思います。目的は場慣れですからテストの質は問いません。
一方、5年9月ごろからは四谷大塚やサピックスなどで本格的な公開模試が始まります。各々の塾によって進み具合も異なりますから未習範囲が出ることも。
かつ、本番まで1年半ある模試の合格可能性は信じるに値しません。良ければ喜び、悪ければ悲しむ、まさしく私がそうでしたが、占い程度の気持ちでいてください。
それは聞く相手を間違えています。模試の合格可能性はメタクタでしたからね。
一般的なことをいえば「受ける学校によって模試の精度は変わってきます」。
偏差値65以上の学校を目指すならその層が多い「サピックスオープン」を受けた方が良いですし、偏差値50以下の学校なら首都圏模試の「統一合判」を受けた方がよし。
もちろん、精度に関してはその学校の名のついた冠模試が優先度は一番ですがね。
次に「精度の高い時期」ですが、受験生が揃い踏みする6年9月以降でしょうか。
この時期に合格可能性80%なら大丈夫、本番でも合格します。この時期に合格可能性30%でも大丈夫、なぜなら、それを出したわが子が合格しているからです。
おっしゃる通りのハンドレッド。
公開模試は2月1日の実験みたいなものなのです。
本番までに思う存分、試行錯誤、七転八倒、悲喜こもごも、大失敗と紆余曲折を繰り返してください。
模試をたくさん受けたから合格できたのか??
特別な受け方をさせていれば、ネタになったでしょうが実はしておりません。
例えば、算数などで「大問を解くごとに時間を計る」とかね。自分のスピードを体感させたかったのですが、うちでは実行できませんでした。
悪かった模試を、試験前日にチェックさせたことはありました。
「ここは読み違い」「写し間違え」「計算ミス」とかね。自分のやりがちなミスを直前に確認させたわけです。単純ミスであればあるほど次の模試に反映しやすかったですね。
机の前に「悪かった点数のテスト」と「良かった点数のテスト」とを貼り付けたりもしました。一種のイメージトレーニングですね。
5年から公開模試を受けてきたわが家ですが、6年後期になってもダメな時はあったわけです。乱高下といえば、最後まで乱高下。
ですから、「さまざまな模試を受けたから合格できたのか??」そう聞かれれば、違うような気もします。
模試を受け続けるだけで合格できたら誰も苦労はしません。
受けるだけで頭がよくなろうはずもありません。
けれど、さまざまな模試を受け続けるうち、子は「平常心」をつかみ取るコツを体得していったようには思います。
へんに力んだり、焦ったり、ハイになったり、出来ない問題にたった一問ぶつかるだけで「気持ちが萎える」とか、逆に得意の分野が出たことで「わし天才!」と舞い上がるとか。
実際には「出来ない!」と思った問題も冷静になれば簡単だったりもします。
逆に、「わし天才!」と舞い上がったあとの問題がボロボロだったことも。
本番で平常心を保てたのは、そんな模試経験を重ねたお陰ではあったはず。
一見むつかしい問題が出ても「あ、またか。落ち着けば解けるやつ」。
得意分野が出た時は「ここは淡々と。舞い上がるワナに引っ掛かってたまるか!」。
そう考えるトレーニングが出来ていたのです。
いかがでしょう?合格に非常に大切なもの。
平常心をつかみ取ること。
子にとってはそれが公開模試の最たる効能でした。