引き続き、中学受験の都立(公立)中高一貫校の対策について。
小6の11月までは私立併願で受けるつもりだった小石川(5年までは桜修館志望)。都立講座を受けたり、早稲田進学会の『そっくり模試』受けたり、小石川や桜修館の合格ライン調べたり。
やめた経緯は前回に譲りますが、今回は都立中高一貫校の合格ラインとか、対策に良さそうな問題集、講座とかもろもろ。
実際に受検した方の知識には及ばないでしょうが、これから受検する方、私立との併願を考えている方には多少なりとも有益なはず。
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都立中高一貫の合格ラインは6割?
実は公表されていないのですね。
ただ、小石川に合格した知人やenaに通っていた知人情報などを総合すると「おそらく」「6割弱程度」「取れれば」「大丈夫」「なのではないか」と。
公表されてないからです!男子と女子でも平均点は違いますしね。

この辺は参考程度に、軽く耳打ちされた程度と思って読んで欲しいのですが、都立の入試問題である「適性検査Ⅱ」や「適性検査Ⅲ」はかなり難度が高い分、それぞれ半分取れれば「御の字」という説もあり。
逆に「適性検査Ⅰ」にあたる作文は7、8割程度が合格ラインとも聞いたことがあります。
都立中高一貫を志望する子って、そもそも小学校で「作文が得意だった子」が多いですね。「作文が得意」だったり「書くのを苦に思わない子」が都立を目指すイメージがあります。そのため、高レベルの争いになるのかもしれませんが。
ちなみに前回も記しましたが、都立の場合、ペーパーテストだけでは合否は決まりませんよ。通知表の査定が加算されます。
「たいへんよい」の数は重要になりますが、「体育と音楽はイマイチだけど、算数や国語はぜんぶ『たいへんよい』だから大丈夫!」とふんぞり返るのは危険です。

というのも。
査定はその科目の平均を取ります。
通知表は算数や国語の方が項目が多くなりますが、算数で5個中5個が「たいへんよい」であろうと、5個中3個が「たいへんよい」であろうと、平均を取ると同じ「たいへんよい」査定になりますね。
一方、体育や音楽は項目が3つくらいしかないものですが、3個中1個が「たいへんよい」で2個が「よい」ですと、平均をとって「よい」にされる可能性があります。
ごちゃごちゃわかりづらい説明だな、と思っているあなた。
要は、高校受験の内申書に近い感じで「ものすごく突出してある科目ができる」ことより「突出はないけど全体的に平均より上」の方が、有利になりやすいということ。算数だろうと音楽だろうと、価値は同じ。
算国理社がすべて「たいへんよい」でも体育や音楽で「もう少し」があるとマズイわけです。
計算方法は学校によって違いますが、桜修館や九段あたりは「もう少し」がついてしまうと他校よりも差がついたような。
4、5年生はそのあたり、気をつけましょうね。
都立中高一貫校受検で親塾は可能か?
一見、できそうに思えますよね。
私立受験は「小4から小6の3年間」がスタンダードですが、都立受検は「小5から」でも「小6から」でもなんとかなりそうな雰囲気が漂います。
前回、書いたように、都立専門塾に通っても小5くらいですとそう難しい内容でもないですし。
その一方、ネックとなるのが過去問です。
作文以外の問題も記述ばっかり。
都立の適性検査は「理系に対する根本的理解」がないと採点が非常に困難になります。
もちろん、赤本に解説はありますが、私立のように「このパターンではこう解く!」ものはない(注:難関私立にもパターン問題はほとんどありませんが)。
親としても「よって立つものがない」というのか、そもそも「よって立つ知識がない」というのか。

おっしゃる通りのハンドレッド。
「間違えた問題」を「正解に導く手はず」、それが素人親では私立の過去問以上に難しいというわけです。
一方、都立専門塾。たとえば、enaでは6年生の授業中に過去問を解きます。志望校も志望校でない学校のものも含め、かなりの数を解くようです。
「私立専門塾だって、そうじゃんか!」と言いたいあなた。
私立の場合、授業でさまざまな学校の過去問をランダムに解きつつも、志望校に関しては「家庭で解く」のが基本です。家で採点して、家で間違い直しして、それをノートに貼って先生に見せるという流れ。
けれど、都立塾では過去問は授業でほぼ完結する。
「学校の絶対数が多くない」「親が採点するには記述が多すぎ、難易度が高すぎる」ゆえなのか。過去問に膨大な時間を取られた私立受験からすると羨ましい限りでしたが。
それも一つの手かもしれません。要するに6年からということになるでしょうかね。
私立にせよ、公立(都立)にせよ、オール親塾というのは大変なものですが、都立ならば最小限の塾通いで済む可能性はあるでしょう。
小石川志望なら早稲進の「そっくり模試」
都立の塾の通うなら「適性検査」的な模試を定期的に受けることになります。
一方、私立専門塾に通っているとか、親塾の場合は子どもの立ち位置がわからない。
そこで、「適性検査の模試を受けよう!」となるわけですが、その時間が取れないのが私立の受験生。
6年生になると日曜特訓だったり、合不合であったり、志望校別模試が入ってきて、時間を作ろうと思わないと作れませんよ。忙しいビジネスマン並みに忙しいのです。

「受けよう!」「受けよう!」と思っていて6年夏ごろにやっと時間を捻出しました。
選んだのは早稲田進学会という塾の『小石川そっくり模試』です。午前中に模試があり、午後は保護者参加もOKの解説授業があったり。(※三鷹模試もあるようです)
なお、こちら小石川志望生には実に有名な模試です。
問題が、かなり研究されていると評判でね。
当時のネット情報によると、そっくり模試で「成績優秀者一覧に載った子」と「実際の合格者」は結構な確率で一致するとのこと。
受験を終えた立場で言えば、「模試」も「占い」もそう変わりはありませんよ。
とは言えど、優秀者一覧に載らなかったけれど合格した友人もおりますので、ダメだったとしてもそうがっかりしないように。
都立中合格ラインを目指す!おすすめ問題集&講座
ともあれ、都立合格ライン6割を前提として適性検査対策のおススメ問題集を紹介しましょうか。元は知人におススメされ、ほとんどがわが子が試したものでもある。
「思考力で合格! 公立中高一貫校適性検査対策問題集」
先の「小石川そっくり模試」の早稲田進学会発行。
同会は問題集をいくつか発行していますが、うちはこちらのお世話になりました。特に小石川を受ける子には必須の問題集ですね。
約数の問題、規則性の問題、積み木の問題など都立に出やすい問題をパターンに分けて解説。私立の入試問題に慣れた目でも難しい問題集に思えましたが、難度を徐々にあげていく構成なのが使いやすかった。
このシリーズには算数のほか、社会や理科もあります。
「グラフ問題特別ゼミ 公立中高一貫校対策-24日間で完成!」
「○○の小数第二位を四捨五入して求めなさい」など、割合のグラフ問題に手こずる向きのおススメです。
割合といっても適性検査の単元的には社会の問題。主にグラフ資料の分析ですがこの問題集は「易→難」までのスロープが比較的ゆっくりです。短時間で取り組みたい向きにもピッタリだと思います。
ブログ「恋する適性検査」
『恋する適性検査』という都立中高一貫校向けのブログも重宝しました。
本ブログでは著者自選の「公立中高一貫の過去問問題集」を販売しています。かなり細かく分野がわかれているので苦手対策にはもってこい。
「折り紙の切り取り図形」とかね。前回の例題で挙げたような、適性検査ならではの、しち面倒くさい「割合の問題」とかね。
解説も赤本よりもずっと詳しいです。PDFでの販売なので印刷しないと使えないのが難ですが、サンプルだけでも役立ちますよ。
『スタディサプリ』で小6まで先取り
スタディサプリで小5までに小6算数を先取りして、その後、都立専門塾に通っていた子がいました。
オンライン授業のいってみればサブスクのような学習講座です。
小学4年生から高校受験対応の講座まで見放題。適性検査ずばりではないものの、小6までに教科書レベルの算数を終わらせておくと絶対的に有利ではある。
映像授業は有名どころの講師も多くかなりわかりやすい。

適性検査に対応した『ブンブンどりむ』の6年生向け講座
わが子も大好きだった作文添削講座の『ブンブンどりむ』
子の作文力を高めたい親に人気の通信教育ですが、6年生対象の『バッチリ完成コース』はまんま公立中高一貫校の受験対策に使えます(というか講座でもそうと謳っている)。
時事問題や図表を使った記述や作文に特化したテキストはオールカラー、漫画仕立てで子供にはかなり取っつきやすい。これ以上取っつきやすいのは受験対策向けではほぼないのではないか。
なおかつ、親にありがたいのが適性検査に対応した月一回の模擬テスト(6年生のみ。5年生までは月二回の作文添削です)。
そうなのです。
あなたが子どもの勉強をよく見るタイプだとしても、作文や適性検査型のテストを分析するのは至難の業。まちがい傾向なども分析してくれるそうですよ。
なお、適性検査にかなり寄るのは6年生コースの特徴ですが、繰り返すようにかなり取っつきやすい教材のため作文得意なら5年生でもイケそうな気がします。



通信で本格的に適性検査対策『 e点ネット塾』
こちらはより本格的になる適性検査の通信講座。『ブンブンどりむ』よりも勉強色は強くなるかと思います。
映像授業とテキスト、作文添削で月4200円(半年一括の場合)とチャレンジよりも安いのでは!って価格も魅力的です。
なお、映像って長いとダレますがここのは全て10分~15分程度。空き時間にポイントを押さえつつ勉強を進められるので私立と並行する向きにも打ってつけではないでしょうか。
適性検査対策になる?都立中学受験本
さらに詳しい都立情報を知りたいあなたのために、受検関連本も行きましょうか。
おそらくね。
都立向けの受験本は私立向けのそれよりさらに少ないですしね。Amazonで検索したら「こちらもおススメ」で一式出てきそうですが、私がかつて読んだものを記憶を掘り起こしつつ紹介します。
「公立中高一貫校に合格できる7つのルール」
こちらは私立との併願を考える向きに特にわかりやすい作り。「私立に出て都立にも出る」「私立に出て都立に出ない」等の傾向も網羅されています。都立を受けるなら、予習シリーズのどの辺までやればいいとかね。
適性検査向けのおススメ問題集や参考書も豊富なので、できるだけご家庭で見たい方にも参考になるかと思います。
「新版 公立中高一貫校 合格への最短ルール」
「~7つのルール」との違いは目線が公立中高一貫校にフォーカスされていること。過去に出された適性検査問題の例から傾向を読みつつ、がっつり解説。その辺りは購入当時(確か小3か小4の頃)は軽く読み飛ばしましたが、小6夏にこれを後悔。「私立の勉強がっつりやってきたんだから、適性検査もチョロいはず」くらいな気持ちだったところ、あまりの難しさにくらくらしましたからね。
で、久々に開いてみると、この本にしっかり肝が書いてありました。親が予習するくらいの気持ちで読むと過去問シーズンに慌てないで済むと思います。
「桜修館 絶対合格に必要な12の必勝ポイント! 桜修館過去問 徹底分析!」
一校丸ごと過去問対策の本なんて、私立御三家でも見たことはありません。ですので、発売当時、かなり謎だったわけですが、同時に桜修館志望生が非常に羨ましかった記憶が。なお、本書は桜修館専門塾の先生が記したもの。この塾による問題解説動画はYouTubeでも視聴できますね。
Amazonでは中古でしか入らない模様ですので、桜修館を少しでも視野に入れている方はさっさと購入した方が良いと思います。
「都立中高一貫校10校の真実」
絶版になりやすい中学受験本の中ではロングセラーの印象。こちらは元白鷗の教師による著作ですが、必ずしも「都立サイコー!」という読後感ではありません。ややネガティブな面も知った上で(言ってしまえば私立だって同じわけですが)、受検を考えたいという方に。発行が2013年と若干古いため今とは異なる部分もあるでしょうが。
塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験
塾不要 親子で挑んだ公立中高一貫校受験 (ディスカヴァー携書)
こちらは絶版。「発行2007年なんてさすがに古すぎでしょ!」と言われそうですが、数少ない都立中高一貫校の受験体験記です。親によるものとしては唯一かもしれません。
「新聞の天声人語を要約させ、お父さんが添削」のくだりを読んだ時は「うちもいずれ」と思ったものです。都立中高一貫校の初期段階の話ですから今と事情は異なるものの、都立受検志望者は一度目を通しておくとよいと思いますよ。











