「家では出来ているのに、模試になるとできない」
こうしたことを言い出す中学受験生の親は毎年一定数いることでしょう。
いつかの年、自分もそうだったわけですからね。
そのアドバイスもまた真なりでしょう。
しかし、スマホの前のあなた、あなたのお子さんに限って、そんな「ズルする」はずはないですからね。
ほかのケースを挙げてみました。
一、 同じテキストの繰り返しで答えを覚えてしまっている。
二、 類題や同じ体裁の問題ばかり解いている。毛色が変わると思考が止まる。
三、 時間を測らずに解いている。要は解くのが遅い。
四、 時間配分に失敗している。
五、 極度の緊張しい。女子にありがち。模試独特の雰囲気に吞まれてしまう。
六、 極度の興奮状態。男子にありがち。「オレ№1」的なハイテンションで玉砕する。
たまには市販の問題集にトライする
1つずつ見ていきましょう。まず、「答えを覚えてしまっている」場合。そのために家では「できる」ように見える場合。
もし、テキストの繰り返しで答えを覚えていたとしても、高校受験生や大学受験生なら「あ、この答え覚えてるな。解き方だけ確認しとこ」とばかり、解き方を反すうすることでしょう。
ノートに途中式を書いてみるとか、そのプロセスこそを重要視するはずでね。
うちには浪人生がいるけど、そんなことはしていないって?
では、もう一浪なさい!!
話を進めますよ。自覚ある大学受験生ならば、答えより、その解き方を重視します。
ひるがえって中学受験生。仮にそんな自覚が生まれるとしたら6年の1月です。
そうなのです。ならば、親がちゃんと気づいてあげるほかない。
口頭で説明させるとかですね。答えにマルするのではなく、算数であれば式の方にマルつけるとかですね。
親の方も「魂を込めてマル付け」をすること。
当然のことながら、答えを覚えていない問題をやらせるというのも手ですが、ここに罠も潜んでいます。
ケース二の「類題や同じ体裁の問題ばかり解いている」に通じる罠ですね。
これは算数にありがちで、パターン問題の反復に偏ると応用が利かなくなります。ちょっとでも毛色が変わると、思考が止まってしまうとかね。
特に、塾の宿題に「数字がえの問題」がごっそり出る場合は注意が必要です。
習い始めは良いとして、そればっかりやっていると同じ体裁でしか解けなくなる。「小テスト」やら「範囲ありの月例テスト」ならまだしも、「範囲ナシの模試」で撃沈してしまう原因になったり。
そこで解決法をひとつ。
塾に通い始めると、市販の問題集はあまり買わなくなりますが、算数は何冊か買っておくと良いと思います。
おっしゃる通りのハンドレッド。
基本は塾のテキストです。
塾のテキストにはその塾なりの成功のセオリーがあるわけです。「この順番でやってこそ!」という配置になっている場合もあるでしょう。
にも関わらず、「子が成功のセオリーに乗れていない!」ということもある。その場合、だまされたと思って市販の問題集をやってみてください。
「塾とは傾向の違う問題を解くこと」、少なくとも「レイアウト」や「並び順」「問題文の言い回し」が違う問題集を解くこと。
経験値の少ない子どもにとって予想以上に大切なことなのです。
これは、早稲アカで算数が苦手だった子が先生から言われたらしいのですが「問題をレイアウトで記憶してしまっている」のだと。
授業で使うテキストなのか、予習シリーズなのか、詳しくはわかりませんが、その子は普段解いているのと「同じ体裁」ならば、比較的点数が取れたそうなのですね。
しかし、公開模試などで体裁が変わると「解けるはずの問題も解けなくなる」と。
こういうケースもあるため、文面だけでなくレイアウトやデザインも意識しつつ、問題をチョイスするのが良いと思います。
外部模試などを受け続けることで、だんだん慣れてくることとは思いますがね。「今の今」「模試が取れない」悩みにお答えするということで。
さて、「家では出来ているのに、模試になるとできない」のケース三です。
「時間を計っていない」。これはそのままですね。
特に算数は時間制限をかけてナンボの世界です。「5分で解く」のと「10分で解く」のとでは実際の模試の点数が異なって当然。
タイマーは1000円以内で購入できますのでぜひ用意しましょう。
なお、経験からいいますと時間を計るとスピードは速くなります。これ、ホントです。
ケース四の「時間配分」に関して言えば、6年生になるとどこの塾でも指導が入る話です。「どの問題から解くか」「どの問題に時間をかけるか」等々。学力や志望校によって異なる話になりますので、こちらは先生に相談しましょうね。
闘志を燃やしすぎると玉砕します?
最後の五と六です。
学力はあるのに、メンタルのまずさで模試を落としてしまう子どもたちです。
うちの娘はまさにこれでしたね。親たちの多くは「ここを疑う」はずです。
何故ならば、受験塾に通うような子どもたちはその成績に限らず、
びっくりするほど長時間勉強をしているわけです。
それなのに、力がついてないとは思いたくはないでしょうが。
わが子は5年生で外部の模試を受けました。そこで見たこともないような偏差値を取ってきたことがありましてね。
女子でしたが、六の「自己過信から平常心を失う」タイプでした。
娘は自分の通う塾が一番だと思っていました。
他塾の子どもたちになど負けるわけがない、本気でそう思っていたのです。
これだけ書くと、本番に強そうな気すらします。一瞬勝てそうな気がしますね。
が、その心が行き過ぎると玉砕につながります。
「敵を見くびる」選手は負けます。
スポ根にありがちな「今こそオレの力を見せてやるぜ」モードではダメなのです。テスト直前にハンドレッドのように燃え過ぎてはなりません。
だから、それがダメなんですってば。
テスト前は平常心が一番です。プロのアスリートのように、闘志を燃やしつつ平常心が保てるのならその子は勝てます。
ですが、多くの小学生はそうはいかまい。
「今こそ!!」「オレ様の力を!!」「燃える魂を解き放て!」では、力が入り過ぎてしまうわけです。
妙なテンションで開始時間を迎えるや、思考が上滑り、前提条件をボトボトボトボト読み落とし、書く欄を間違え単純なミスを連発する。
しかし、勢いだけはあるからスピードはいつもより速く、周りの子よりもさっさと終了。
その結果、本人は「できた」ような気すらしてしまう。
ほら、どうですか?
心当たりはありませんか?
このタイプの子どもは調子に乗ると成績が落ちます。
例えば、授業で「誰も解けない問題が解けた!」とか「単元テストがクラスで一番だった!!」などの現象が起こると
直後の模試は決まって大したことはないのです。
このように「興奮しやすい」タイプの子はどうしたらよいのか??勉強以前に、禅寺にでも行かせた方がよいのではないか?
本気で考えた私が実際にやったことは、結局、
「場数を踏ませ体感させること」
「調子に乗りやすさを自覚させること」
「平常心が大事だと繰り返し伝えること」
くらいなものでしたが。
ハンドレッド先生のおっしゃる通り。たまにはいいこと言うではないですか。
単純計算は集中力と平常心を生み出します。ただし、答えを覚えても計算はしないとダメですよ。計算して頭脳を働かせる、その過程から集中力と平常心が生まれるのです。
こちらのお子さんの方がまだ救いがありますね。
場数。
先ほどと一緒ですが、やはり、それに尽きます。
立ち位置を確認するためではなく、単に緊張対策のために、外部模試を受けることは有用です。受け続けているうちに必ず慣れます。
ただ、合不合やサピックスオープンに慣れたところで「その先はどうなんだ!」という声もあるでしょう。
ですので、補足しておきますと、2月1日本番に向け、志望校にも何度も足を運んでください。
入試日に「ここは自分のテリトリー」くらいに思えるようなら成功です。この作戦はほぼ全員に有効ですが、プレッシャーに弱いタイプには特におすすめします。
文化祭やオープンキャンパス、何もない普段の日にも行ってみたりね。通学路に誰よりも詳しくなるとかね。生徒が寄り道するような店に行ってみるのもいいでしょう。
学校が会場になる模試があれば、その模試自体に思い入れはなくても是非受けましょう。あとは、6年生なら公式HPを時々見るとかね。なんとなく「自分に近しいもの」という感覚が生まれたらそれだけでも効果はあると思いますよ。