「偏差値40でも受験する意味はあるのか?」「誰でも受かる私立中学ってどうなんよ?」と聞かれたことがありました。
しかし、中学受験をする以上、避けては通れないテーマだとも思うわけです。
たとえば、偏差値60台と40台、実を言うと、この距離は存外遠くありません。わが子はこの間を何度も行き来しましたし、その可能性だってないわけではなかった。
偏差値40の学校に進学した子も周囲にはいましたが、皆、優秀でした。かつ「地獄の中学受験」をスルーして、気づけば高校で学校そのものの偏差値が20くらいアップしてるとか。
実は最強なんじゃないかと思う「偏差値40の中学受験」。おすすめ学校とともに考えたいと思います。
(※偏差値は四谷大塚ベースで40前後の学校を想定)
偏差値40は「合格率80%」を誰でも取れる?
小4で中学受験を始めた時、私たち親子は偏差値60の学校を目標にしたわけですね。
最難関はおこがましいけど、偏差値60なら「なんとかなるのではないか?」と。
今、スマホを見ているあなたもそうではないですか? 私たちは気が合いそうです。
ともあれど、「なんとかなりそうなはず」だった偏差値60の道も決して平たんではありませんでした。
おっしゃる通り、と言ってしまうのはどうにも誤解を呼びそうですがね。
5年後半の段階で40前後の学校を志望していた子が数人いました。彼ら彼女らは中学受験生の基準でいえば、はっきり言って勉強はしていませんでした。
ママ友から聞く愚痴は「2時間掛けてやったのは算数の標準問題1ページ!」とか「出来たと思えば、答えの丸写し!!」だとか「今日も塾サボった!」とか。なのに、模試での合格率は80%です。
小6の夏休み。一人の母が言いました。志望は女子美付属中。当時の偏差値で38くらい。その子はすでに合格圏を越えて週1で個別に通っていた。
「塾やめて個別行ってる。算数はもう大丈夫だから国語だけ。家庭学習?ほとんどしてないよ。みんなは夏期講習でしょ? 遊ぶ友達がいなくてヒマみたい」
願ってませんって!
サバサバとした楽しいお母さんだったんですよ。「算数はもう大丈夫」と言われ、少々イラっとしたのは事実ですがね。
続いて小6の1月。本番2週間前に別の母が言いました。志望は大妻中野。当時の偏差値で40台前半。
「過去問も終わってるし、塾行っても入試問題ばかりでうちは関係ないのね。そんな難しいの、出ないから。昨日なんか5時間ゲームやっててもう呆れた!!」
それは少し思ったかもしれませんがね。
このお母さんも楽しい人だったのですがね。幸いにも私のドロッとした感情は誰に届くこともなく子どもたちは100%合格しました。
中学受験の偏差値40は「頭悪い」はぜったいウソ!
さて、偏差値40といっても、中学受験での偏差値ですから小学校では上位なわけです。
すごーくヤな感じの表現になりますが小学生の平均を無理やり中受に当てはめると偏差値35くらいらしい。
このブログの検索ワードをチェックすると「偏差値40 頭悪い」なんてのがありましたが、そんなことはぜったーいにない!!です。
前述した子たちも学校の勉強は優秀でした。かつ学芸会や運動会、諸々のコンクールなどで目立っている子たちも多かった。……ともすると、難関受験組よりもずっと。
いちいちうるさいですよ、ハンドレッド。
中学受験を選択すると、小学生らしい生活はある程度、犠牲になるわけです。
けれど、彼らは傍から見るに、実に小学生らしい生活を送っていたように思えたのです。
中学受験の勉強をしつつ、習い事をやめることもなく、6年になっても家族旅行に出かけたりしてですね。
中には小6からお父さんが親塾を始めて、毎日二時間程度の勉強で受かった子もいましたね。
偏差値40前後の学校が「小学生らしい生活を送りつつ普通に受かる」レベルなのか、あるいは、その子たちが「大してやらなくとも普通に受かる」地頭を持っていたのか。
ぶっちゃけ中受志望生なら全員後者にあてはまりそう。
どちらにせよ、偏差値40校なら二科受験も多いです。
塾に3年通って200万とか300万とかかけなくともZ会の通信教育 中学受験コースで算数だけ、国語は漢字と1日15分の「ブンブンどりむ」
Z会中学受験コースは難関校も対応だから難易度は高め。特に国語読解はかなり難しいので中堅校向きではありません。
偏差値60めざしてるのに偏差値40。どうすれば?
とはいえど。
「そういうことじゃないのだ」と言いたくなってるお母さんもいるかもしれません。
「小学校らしい生活」を目指して偏差値40校を受験するのではなく、どうもこうも「成績が上がらない!」から偏差値40校を受験することになりそうなのだ、とか。
うむ。冒頭にも書きましたが、偏差値60目指して偏差値40というのはそう珍しくはないのです。
偏差値40台前半までは小学校で上位層ならクリアーできる。が、塾の先生によると偏差値45以降、5刻みくらいで累乗的に難度が上がるらしいのね。偏差値40と45の努力量はかなり違う。
一方で経験からいうと、娘の国語は偏差値68だったこともあれば、偏差値43だったこともある。算数も理科も社会もよく考えれば10~20の偏差値変動なんて珍しいことではなかった。
問題はそのブレ(下方値)がどのタイミングで来るかです。小4とか小5ならまだしも小6で40台に落ち込んだ日にはそれはだな。
まず、小6夏以降なら金と時間を計りにかけて外部(家庭教師、個別)に頼んだ方が成功率は高いです。
中学受験ならSS-1
学研は学研教室のイメージ強いけど、昨今、中受対策かなり鍛えてるから穴場といえば穴場。
まずはそれが現実的な(当ブログらしからぬ)解決策です。
「いやいや金に糸目をつけたいんだ!」とか「チャレンジはするけど偏差値40校の良さを知っときたいんだ!」という方は続きをどうぞ。大丈夫、前向きに。
偏差値40校はユニークな学校の宝庫です
おっしゃる通りのハンドレッド。
「特色のある教育」といえば、むしろこのラインこそ多いかもしれません。
こと女子校の場合は偏差値が上がるほどにオーソドックスになっていく傾向があるように思います。説明会に行っても「ふーん」で終わるのが実情です。
改革をせずとも人が集まるからでしょうか、はっきり言って、創意工夫の面で見劣りすらしますわ。
一方、偏差値40前後となると一気に面白い学校が増える気がします。子どもが通って楽しい、とにかく楽しそうな学校という印象。
通知表がなく、個性尊重型で女版武蔵ともいわる桐朋女子とかね。
服装、髪型自由、校舎がオールバリアフリーの和光学園ですとかね。
中学校などでよく講演をする知り合いが「和光中学の生徒の質問が一番面白かった。だから、子どもは和光に入れた」と話していたことがありましたっけ。
首都圏模試で志願者ランキング常連の女子美付属もこの線ですね。
勉強の進度は公立並み、当然、美術の授業は充実しています。予備校なしにそのまま美大に行けると思えば、お得感はかなり高い!先の母、賢い!
なお、首都模試の偏差値(および学校)についてはSS−1テラス
誰でも受かる私立中学?高校入学で偏差値20UPかも
自由な学校が多いのと同様、このラインはまた、難関校以上に勉学に熱心な学校も多いのです。
偏差値40台ながら上昇、再上昇を目指している学校ですとかね。いわゆる入学してから塾要らずで済む学校も少なくないと聞きます。
余談ながら、品川女子や鴎友もかつては偏差値40以下、硬軟合わせた教育改革により今のポジションを獲得した組でしょう。
おっしゃる通りですね。
そもそも中学受験と高校受験とでは母集団が違います。
模試によってもバラつきがありますので比較は難しいのですが、中学受験で偏差値50なら高校受験で偏差値60というのが基本路線です。
しかし、中には10どころか、15や20アップする学校もあるのですね。
前述の桐朋女子も高校は60台へ。ちなみに蜷川実花やピアニストの中村紘子もこの学校の出身です。十文字や東京純心女子あたりも中等部で40前半ですが、高等部になると偏差値60を超えます。
子どもの頭が変わらずとも中学から高校に進学するだけで偏差値が20もアップする。なんとも美味しい話ですね。
こうした例を見ますと、高校に入ってもプラス2、3の偏差値上昇しか望めない豊島岡(中学偏差値70前後)はうまみが少ないといいますか、損した気分にすらなってきます。
大学進学実績ですが、偏差値40前後の学校でも早慶クラスに20人前後は入っているような学校も少なくありません。
跡見学園とかね、日大二中とかね、東京純真女子とかね、獨協とかね、玉川学園とかね。定員割れなんて声もなかには聞こえてきますが、魅力的なお得校は多いです。
もちろん、私のデータは若干古いですし大学入試改革で諸々変わってくる点ではありましょう。
しかし、小学生活を犠牲にせず、早慶の可能性も捨てたくないとなれば、選択肢としてはありだと思うわけです。
小学生時点で「そこまで勉強のポテンシャルが高くない」として、その子が公立中学に行き、将来、早慶に進む目より、偏差値40の学校を受験して早慶に進む目の方が確率的には高いはず。
というわけで以上は「中学偏差値に対する高校偏差値のお得感」「中学偏差値に対する大学進学のお得感」について書きました。
その他、最新の受験ガイドや学校のホームページでお得学校をチェックして頂ければと思います。
偏差値40の学校で成績トップの子
ともあれど。中学受験時代は親も子も学校偏差値にやたらと敏感になります。
「偏差値で学校を測るな」というのはキレイごとだと思う。塾にせよ、模試にせよ、偏差値をもとに諸々が進められていくのですから仕方がないと思ウ。
わしって醜い!と思いつつ「ママ友の子より、偏差値の高いところに行かせたい」とかね。渦巻いてしまうのが人ってもの。
あるいは当事者として「難関志望のはずが偏差値40くらいじゃないとムリそうだ。困った。どうしよう。参った。立場なし。もうやめるか」みたいに思ったりですね。
しかし、中学入学とともにこうした「偏差値ヒエラルキー」は一旦リセットされます。
というのも、中学に入ってしまうと、新しい環境やらお弁当やら部活やら中間テストやらクラスメイトの遠出の遊びやら日常自体が忙しいので「この学校の偏差値は……」等々、考えたりはしないわけです。
もちろん、思わぬところに進学することになった場合、心の痛みはしばし続くかもしれません。GWはまだ痛む、でも夏休みが来る頃には凪いでいるかどうか。
親の痛みをよそに子は早々と新しい環境に馴染んでいきます。親の方もその子どもの背中を見つつ、いつしか痛みとオサラバしましょう。
中一の頃、小学校の親子同窓会がありました。
通う学校はさまざまでしたし、第一志望ではない学校に通った子もいます。ですが、どのお母さんも憑き物が落ちたように爽やかでした。
中学受験の時、おそらくは「他の子には負けたくない」と一度は思っただろう母たちが単なる「中学生の親」になっていたのですね。
その子どもたちに偏差値40も60もありません。入ってしまえば、みんな、ただの中学生です。
母たちと学校について話すにも「部活のハードさ」であったり、「補習になったとか、ならなかった」とか、「研修旅行でどこ行くか」とか、「校則のユルさ、厳しさ」やら「カフェテリアがすごい」やら。
中学受験中もタテマエ的にそんな話をした覚えもありますが、この時は誓ってタテマエではありませんでした。
中学入学後、親が気にするとすれば入学時の偏差値ではなく入学後の成績になるわけです。
偏差値60の学校に入ったとして、びりっかすの親では気分が悪いでしょう。偏差値40で上位10位以内の親の気分が上等でしょう。
それは間違いなく後者だと思いますよ。
というか、10位以内どころではないでしょうね。
あくまで私の感覚に過ぎませんが偏差値60で平均そこそこの子よりも、偏差値40でトップクラスの方が、大学は有望なんじゃないかぁあああ……と思いますね。
そこはご想像にお任せしますよ。
中学校の成績と中学受験の成績は思うより相関関係がないですよ。「入ってからやるか、やらないか」。はっきり言って、それだけです。
いろいろと書きましたが、スロースターターであるとか、中学以降の伸びに期待したい親にとっても偏差値40受験はお得だと思います。
6年後の大逆転は大いにありうる