子どもの中学受験時代、自分は20数校の中高一貫校を訪問しました。訪問の際にまず参考にしたのは中学受験生の家に必ずある「あの本」です。
あの本とは「中高一貫案内ガイド」のこと。
ザ・データ!!って感じの受験ガイドですね。日能研でもサピックスでも声の教育者でも毎年3月から初夏あたりにかけ、さまざまな出版社が発行します。
取っつきやすいとは言い難いですね。
でも、細かくみていくと何かそそられる感じもある。
「部活数めちゃくちゃ多いのに生徒数が10人!?」みたいな学校を発見した時は(わが子が受けないだろうけど)妙な満足感があったりしたものです。
受験生当時に愛用したごつい「中学受験案内本」のほか、著者の主観の入ったより素顔っぽい「学校ガイド」を以下に紹介していきます(+学校案内サイトを少々)。
THEデータの中学受験案内本おすすめ
一見、字ばっかりでつまらなさそうなガイドブックですが、3年間毎年どこかのものを購入していた気がします。
「中学受験案内(旺文社)」ーーオーソドックスで使いやすい
家にあったのは旺文社の「中学受験案内」。オーソドックスながら書店で見た感じ、これが一番使いやすそうで購入。
また、中学受験ガイド本では新版を一番早い時期(毎年3月)に発売する受験案内でもある。
入試関連の情報はもちろん、中1終了まで&高校卒業時までの必要額や制服やカバンなどの費用も一覧になってるし。
今は「スマホを学校に持って行っていいのか?」や「PCやタブレットの活用状況」なども付記されています。
学校情報ページには四谷大塚と首都圏模試それぞれの偏差値を掲載。合格可能性80%・50%偏差値もね。
一覧表はもちろんですが、学校案内の各ページにこれがあるのとないのとでは大違いです。
学校訪問するかどうかの参考に、とじ込みの所在地一覧地図もかなり重宝しました。有難いですね。制服コレクションもあります。
なお、偏差値は四谷大塚と首都模試のみなのでサピックス生は「SAPIX中学受験ガイド」、日能研生は2022年入試用 中学受験 日能研の学校案内 首都圏・その他東日本版 (日能研ブックス)
「SAPIX中学受験ガイド」ーーサピックス生の合格実績がわかる
分厚い受験ガイドでは唯一のオールカラーがサピックス。
ただね、学校情報の各ページに偏差値が載っていないんですね。
巻頭に一覧表はありますが、学校情報のページと一覧表を行き来するので正直ちょっと使いづらい。
そこはサピックス的な余裕を感じますがね。
自分が見たところ、サピ以外の本でもこうしたガイドブックはありました。
とはいえ、読み物系の本ならば偏差値を載せない意図もわかりますが、データ中心のガイドでその最たるデータである偏差値を載せないとは!と思った気がします。
と、ネガティブキャンペーンを広げたものの「SAPIX中学受験ガイド」にはサピックス生の合格者数が掲載されていてこれが面白い。
サピックスならの入試予測とか出題傾向の分析はがっつり感漂っているのでサピックス生はもちろん、サピックス生と戦うであろう最難関志望者は必須な気も。
あ、あと個人的にはカフェテリアの有無とか良かったかな。
「有名私立 女子校&共学校」ーー女子親なら中古でも欲しい
もう一冊、愛用したのが「有名私立 女子校&共学校」です。実をいえば、データ系の本では一番よく開いた。
中古で買って受験を終えた今でも持っている……。
校則完全ガイドなど類書にはない情報もあり、女子親は重宝します。
ただ、新しいバージョンは出ていないようで何十万もするようなバックナンバーもある(そこまで?と購入者の目的を考えてぞわっともしますが)。
いやわかりませんが、いい中学受験ガイド本だったので、制服なしでもよいから学研にはがんばって欲しいところです。
中学入試合格資料集ーーお金の話と適性検査の出題傾向
こちら過去問で有名な声の教育社からの出版。
同社からは中学受験ガイドとして↓も出ていますが「中学入試合格資料集」はこの手の案内とは少し趣が異なる。
ここまで分厚くもなく、扱っている情報がほんの少し異なる。個人的にはお金の情報に強い印象を持ちました。
「寄付金の有無」であるとか「出願時に調査書のいらない学校」が一覧になっていて便利でもあった。
あと何故か都立適性検査の出題傾向も分析しています。公立中高一貫校志望者は持っておくとよいですね。東大・早大・慶大合格者数高校別一覧もあります。
というわけで、以上は、正直いって大本営的発表というか、データに終始したガイドブックです。が、四角四面のデータだけに想像力を刺激されることがあるのもまた事実。
例えば、受験案内ガイドを眺めていると、一学年に10人程度の学校を発見したりしてびっくりします。大人数が苦手、きめ細かくわが子を見てほしいという保護者も少なくないのでしょうか。
なかには、都内ながら敷地面積は広いのに、部活動も充実しているようなのに、生徒数が1学年1名や2名の学校があったりね。
はたして、運営はどうなっているのかと妄想が広がります。
知らない学校もたくさん載っているぶ厚い受験案内ガイド。たとい大本営的発表でも奥深いものがあります。
学校の素顔が見たい!取材もの中高一貫校本おすすめ
「ザ・データ」的な話よりも、もっと学校の素顔的な情報が欲しいというあなたもいるでしょう。そんな方たちのために、もう少し突っ込んだ感のある学校ガイドも紹介します。
「偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び」 ーー取材記事が豊富
こちらはムック本で取材記事多め、雑誌よりの本です。
学校選びに参考になる特集記事から「2月の勝者」の作者のインタビュー、中学受験の心構えから4大進学塾の比較、全国中高一貫の大学合格実績一覧(圧巻です)まで。
※脱線しますが、塾選びは塾生のママ友ほかの声を集めまくった下記ブログも秀逸です(自画自賛)。
人気校の公開授業のコーナーとかもあってね。
タイトルの意図を表してか最難関ぞろいというわけではなく。浅野、栄東、頌栄の立川国際、芝浦工、山脇などの名物授業がレポートされています。
24年版(23年6月発売分)はありますね↓
毎号、紹介される学校が異なるので複数冊買うのでも。
「『授業』で選ぶ中高一貫校」ーーほかにはない生の情報が多い
一方、学校だけのガイドブックとしては「授業で選ぶ中高一貫校」とか「有名私立中学 『ホンネの選択』」あたりはかなり面白かったです。それぞれの学校をしっかり取材してデータだけではない本音を取ってきた。
ただし、情報がやや古いのが難。
中学受験のプロが本気で語る有名私立中学「ホンネの選択」 首都圏版
ある時期まで毎年のように刊行されていましたが、なくなってから久しい。
新進校以外なら参考になりそうですね。
授業風景やら校則の話、生徒や保護者のコメントなどよくまとまった本だと思います。昔の本ですが、中古で1円だったりするので手元にあってもよい気がします。
「子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準」
これも受験の時に読んだ本です。
寮のある学校だとか海外留学に強い学校など、切り口ごとの紹介なのでわかりやすい。
たとえば、
塾いらずの学校(浅野中学・田園調布学園)、文武両道のリーダーを作る(巣鴨)、入ってから伸ばす学校(足立学園)、企業とのコラボが多い学校(品川女子・西武文理)、通知表のない学校(桐朋女子)、46万平方の森がある学校(麗澤中学)などなど。
都立では桜修館や県立千葉の例もありました。
詳しい例として挙げられているもののほか全国179校の見比べチェックもついています。
偏差値基軸ではない「子どもが化ける学校を探せ」ってことがテーマですからね。
「旧名門校 VS 新名門校 今、本当に行くべき学校と受験の新常識がわかる!」 ーー有名校たくさん!学校ガイドにも
とはいえ、下世話ながら「有名校並びが好き」という方もいるでしょう。
受験初期段階(あるいは終わるまで!?)では「有名校または超人気校」「偏差値がより高いところ」に視点がいきがちなのは仕方あるまい。
著者が塾の先生だからかその辺はよくわかっているようで、塾の合格実績に必ず上がる学校ばかりが出てきます。
男女御三家はもちろん渋渋、早慶、豊島岡、フェリス、浦和明の星、海城、芝、青学、吉祥女子、鴎友、東洋英和、三田国際などなど。
都立についても一章割いています。
授業の内容や教師の質、校内の行事もの、その学校ならの生徒の特色などが流れるように次々と出てきます。
塾の先生って中高一貫校の情報をめちゃくちゃ持ってるんですね。当たり前といや当たり前ですが、各校の担当者と直で話している先生は多いですし、卒業生から生の声を聞くこともある。
これ一冊読んでおけば、今の中学受験を代表する学校のことがざっとわかる感じ。
※手前味噌ながらこちらのシリーズもどうぞ!生の声(私の主観)だらけです。
難関校の個別案内なら、おおたとしまさの本
難関校かつ「さらに詳しい学校案内」をってことなら、おおたとしまさ氏の本が充実しているでしょうか。
Amazonでこの人の名を検索すると、中学受験絡みの本、いったい何十冊書いてるんだ!?とびっくりしますが(背骨のゆがみの本を書いてることにまたびっくり)中高一貫校を日本で一番取材しているジャーナリストなんじゃないかと。
「超」「進学校」で「トップ10」というタイトルに、編集者の笑みが見え隠れしそうです。
開成、灘、東海、洛南、東大寺学園、甲陽学院、麻布、西大和学園、筑波大附駒場、ラ・サールと並べると少々胸焼けがしそう(ひがみ?)な10校の授業や行事を対決させたものだとか。
大学付属校という選択早慶MARCH関関同立 日経プレミアシリーズ
↑早慶や明治など70校以上の付属中高一貫を取り上げたものだとか、
中学受験 注目校の素顔 鷗友学園女子中学高等学校 (学校研究シリーズ 7)
個別の学校シリーズ(17校分くらいある)もあります。
ただ、このシリーズは良くも悪くも「学校発信」感は強い。学校説明会で先生がいうような話を1冊にまとめた印象ですかね。
「セキララ☆中学受験」--マンガで学校案内も
一方、親子とも楽しめるのが、今日マチ子によるコミックエッセイ「セキ☆ララ中学受験―経験者だから描けた、ホントの中学受験&中高一貫校ライフ! 」
女子学院を受験した作者の実体験ですが、(のちに入学した)女子学院時代の学校生活のほか後半部には40校近い学校のマンガ案内があります。
開成、筑駒、青学、麻布、桜蔭、跡見学園、白百合、お茶の水女子、慶應、攻玉社、巣鴨、東京学芸大、桐朋、武蔵ほかたくさん。
発行は2009年なので情報はやや古いものの、類書がない時点で買い!の一言。関係ありませんが、わが子の同級生が中学校の「職業レポート」でこの方にインタビューをお願いしてたっけなぁ(受けてくれたようです)。
十年以上、中学受験生に愛されているマンガでもあります。
以下は当ブログにおける学校案内・関連ページです。(数年前のデータとなります)
わが子に似合う学校を探せ! チャレンジ70編(女子学院、豊島岡、渋渋、お茶の水)
わが子に似合う学校を探せ! 本命60編(鴎友学園、頌栄女子学院、広尾学園、都立小石川、都立桜修館)
わが子に似合う学校を探せ! 偏差値50編(大妻、品川女子、國學院久我山、普連土、恵泉)
吉祥女子説明会に6回は行った話その1(第一志望の決め方)
吉祥女子説明会に6回は行った話その2(第一志望の決め方)