本棚の半分が中学受験本で占められていた時期がありました。「偏差値40からの大逆転」とか「偏差値が20UPした勉強法」みたいなタイトルばかりが並んでいてね。
「お前の本棚偏差値こそ40台だろ!」とツッコミたくなるような光景ではありましたが、それらの本の数々に私はかなり救われた。
最終的に受験全勝した、偏差値60校合格の一端は絶対に担っているぞと思います。
というわけで、おすすめを紹介。受験を終えて未だ深く記憶に残っている本、最近新たに読んだ本。絶版含め読んだ受験本は300冊以上になるのではないかと。厳選していきます。
親が読む算数、国語、理科の参考書
さて、構成的には最初は「中学受験入門」みたいな一般的な本から始めるべきでしょうが、ブログなので私の感動順で行きます(中受入門も後半で触れます)。
『算数の戦略的学習法 難関中学編』ほか熊野本――30回は読んだと思います
初っ端は感謝してもしきれない、算数の勉強本から。
エール出版と聞いて「ああ、受験専門の出版社ね!」とわかる人は結構な受験通だと思いますが、この出版社、いかんせん当たりハズレも多い。こういっちゃなんですが、編集にあまりお金をかけていない分(予算がないのでしょう)、著者の力量がまま直結するというか。
「問題集を買う時はAmazonのレビュー評価を参考にする」みたいなことをドヤ顔で語っていた中受本もあり、かなりムカムカしたこともあったっけな。
ですが、当たるとこれが大きくてね。他の出版社にはない深さで保護者の心をえぐるわけです。その筆頭が算数のプロ家庭教師・熊野孝哉氏のシリーズ。
旧版の方ですがね。受験本は終了後、メルカリでほとんど売ってしまったのですが、よほど気に入っていたのでしょう。無人島に一冊しか持っていけないとしたらこれを選びます。
「算数の戦略的学習法 難関中学編」は塾の次くらいに、わが子の算数を作ったといって過言ではない。定価1500円だけど60万くらいの価値があったといいたいくらい。
じゃあ払ってね、といわれたら困りますけどね。当ブログの他の記事でも引用しまくった記憶がありますが、本当に家庭教師みたいな一冊でした。
本書は「5年前期の学習法」「5年後期の学習法」「6年前期の学習法」「6年後期の学習法」と時期別の学習法に詳しいのですが、テーマは「勝負どころの逆算」です。
著者いわく中学受験の最初の勝負は5年9月。
それ以前は直近の成績に神経質になることはなく、5年9月を目指して「仕込み学習を固めていく方が難関校の合格率は上がる」と言います。本書で4年生の学習法があまり扱われていないのも理由あってのことらしい。
で、わが家も5年9月を意識してもろもろ仕込んできた。チョボチョボ成績だった4年を経て、5年後半でぐっと上がり、6年になってさらに伸びた。その折々にこの本の教えがあったことはいうまでもありません。
もちろん、5年9月を過ぎて入試本番までガンガン使える一冊です。
「算数の戦略的学習法」は勉強法を講じた本ですが、熊野孝哉氏は「比」や「速さ」など単元に特化した本(要は、解き方の本)も出していて、そちらも実用に使っていました。
↓算数問題集で紹介しています。
熊野氏の新刊↓もおすすめ。こちらはプラスワン問題集の使い方も。どちらにしてもエール出版の本は書店にあったりなかったりも多いのでネットで買った方が確実ではありますね。
熊野孝哉が提言する難関校合格への62の戦略
『文章読解の鉄則増補改訂版 中学受験国語』&『公立中高一貫校に合格できる7つのルール』
そういう紹介の仕方は中受ブログ初でしょう。
個人的には、「文章読解の鉄則増補改訂版 中学受験国語」と「公立中高一貫校に合格できる7つのルール」が良かったかな。
前者は5年後半から過去問時期にフル活用しましたし、後者は「都立の場合、予習シリーズならどこまでやればいいのか?」まで言及してくれています(わが家は結局、都立は受けませんでしたが)。
なお、「文章読解の鉄則増補改訂版 中学受験国語」は以下の「国語問題集まとめ」で最初に紹介してます。
最強の国語問題集&参考書!全勝組が使ってよかった22選【中学受験】
『本当はおもしろい中学入試の理科』シリーズ
こちらはですね、実は現役(?)時代には読んでいません。娘の時代にはなかったタイプの本です。
当時も家でできる実験本はあったと思う。でも、中学受験ど真ん中に軸足を置いたものなんてなかったーーー!!
最初に「実験レシピ」があって「わかりやすい解説」があって「テーマに対応した入試問題」を解く、そんな構成です。
入試問題も麻布や桜蔭や開成や女子学院、洗足等々、充実のラインナップ。
奇をてらった問題ではなく模試なんかでも頻出しそうな良問揃い。
食塩のグラフとか植物の蒸散に関する問題とか、ああ、中受の時によく見たわなぁ。そうして子はよく間違えてたなぁ。
さて、本書ですが、どの家庭にありそうなものだけで実験できるのが良い。
さらに「中受生は買い!」と思った最たるは「実験⇔入試問題」を一直線につないだこと。
理科苦手な子って実験不足の子が多いわけですが、そもそも苦手な子は実験して「わかった!」と思いきや何故か「問題になると解けない」という現象を起こしたりする……。
そうなのです。
2つを繋ぐ架け橋が必要。
それが本書の巧みなところでもある。何しろ解説がわかりやすいんです。
理科苦手な母も「なるほどねー」とウンチク垂れたくなること請け合いです。
続編もあります(特に皆が苦手な?「月の満ち欠け」は著者自身かなり力を入れて書いたそう)。
親子実験の前は解説部分を予習しておくといいですよ。
受験ママの強い味方!親の書いた体験本
次にいきましょうか。
中学受験入門にいくと見せかけて、個人的に大好きだったジャンル、中受体験本です。
やっぱり外せない『下剋上受験』
今さらという感じもしますし、ドラマになんかなっちゃうと逆に敬遠する人もいると思うのですが、わしが読んだ中学受験本300冊(※だいたいですが、もっと多い気もします)の面白さ対決で頂点に立つのは『下剋上受験』でしたね。
これもね、まだ家にありますよ。
なんとなーくタイトルは知ってるけど内容知らん、という人のために説明しますと「中卒の親父」が「娘にはぜったい同じ轍を踏ませたくない!」と決意し、「塾なし(親塾)」で女子最高峰の桜蔭を目指す中学受験体験談。
受験勉強というスポ根です。ドラマの方は半分くらい脚色入ってましたが、原作の方が10倍面白いです。
娘と一緒に勉強した桜井信一氏は現在、中学受験のプロ算数講師みたいな感じになっていますが、当初は計算問題に何十分もかかってもうボロボロ。
中学受験の問題集を買い込むも(10万近くかかって妻に怒られる)、解答の「24L目を参照」という付記を見て「L」の意味がわからなくて憤慨する(24L目=24行目ですね)。
塾の先生がMarchの話をすれば「なんだ、マーチ大学って。そんなとこ知らん」と思う始末。
コンビニまでコピーに行くのが大変だからと業務用コピー機をレンタルし(月4万とかかかってまたしても妻に怒られる)、その代金を支払うためにチラシ配りのバイトしてたり。
しかし、熱意のすごい方でね。娘に教えるため、自らの睡眠時間削って予習する。「中学受験をやる以上、親にもここまでの覚悟が必要なのか……」としたたかにショックを受けました。
いや、実際ここまでやれる親は10万人に1人くらいなものでしょうが、「親がしっかりしなくては」と奮起した一冊にはなった。
「中学受験体験記」といったものは「下剋上受験」以降、ほとんど出てないですね。特に成績の乱高下激しいジェットコースター的な体験記は。
相哀れむ系のシリーズですか。中学受験のぶっちゃけ体験記に飢えている方は以下もおススメ。ほとんど絶版です。わたしも中古で購入したものばかり。
『こんなハズじゃなかった中学受験』(のびちゃんパパ)
サピックス上位にいた子が小6で成績急落!勉強をサボりまくる息子となんとか勉強させたい父との攻防戦。6年生の受験生活が見えるような構成も良いです。
『偏差値30からの中学受験合格記』(鳥居りんこ)
こちらは母と息子のドタバタ中受体験記。私もブチ切れやすい母ですが、これ読んで「自分はまだマシかもしれない」と思った次第。読み終えた後、元気になれる本でもあります。
偏差値30からの中学受験合格記―泣いて、落ち込んで、最後に笑った母と子の500日
『まるごと体験BOOK 中学受験!』
中学受験ドキュメント。一般家庭のお話から漫画家の青沼貴子や堀内三佳(札幌の日能研から雙葉に入っちゃった子)の中受コミックもあり。桜蔭や武蔵、洗足学園や吉祥女子などこれまたさまざまな学校の受験が垣間見れて面白い。
まるごと体験BOOK 中学受験!―ベテラン塾講師の本音アドバイス付き
「足りなくても勝てます ~合格率20%でも中学受験全勝の記」(中学受験ウカルログ)
恐れ多いというか、なんというのか。中受受験体験記が少ないので本ブログをまとめてしまったというか。とりあえず、ウカルログの6年生向け記事を読んだ方には既視感あるかもしれませんが。
「第一志望校の合格可能性20%」
「過去問を10回やっても合格者最低点に届かない」
「しかも、合格率80%の併願過去問まで落とす」
「夏に100時間勉強したのに理科の偏差値40台」
そういうことです。合格にあやかり590円ですがkindle会員ならタダで読めます。新規登録でも30日タダで読めます。なんか悪いので、ぜひタダで読む方法を模索して欲しい……。
親子の心情に涙する中学受験小説&ドキュメント
ともあれ、中学受験を決めた親は孤独です。
中学受験をしない人から見れば「小学生にそんなに勉強させなくても」案件であることは間違いないゆえ、おいそれと相談はできない。
では、中学受験組の親になら相談できるかと言えば「互いの子どもの偏差値」へのけん制が働いたりして、これまたおいそれと相談できない。
だからこそ、すっだもんだの受験体験記を拠り所にしてきたわけですが、最近その手のノンフィクションは少ないのです。
『2月の勝者』--ハズレなしの中学受験マンガ
一方で、フィクションの題材として中学受験が注目されるようになりましたね。今さらって感じですが『2月の勝者』しかり。
感動やら恐怖やら中学受験をさまざまな角度からフォーカスしたマンガです。発売と同時に買うマンガなんて自分にとって本作くらいな気がする。
現在17巻くらいまで出ていますが、個人的には前半が好きかな。5巻くらいまでは数話につき1家庭みたいな、連作短編(?)っぽい作りだったんですよ。最難関を目指す子のジレンマであったり、勉強サボってばっかの子の悲喜こもごもだったり、子ども目線も多くてね。
後半になると、数話で完結型ではなくカリスマ塾講師・黒木の過去やさまざまな生徒のトラブルが同時進行で描かれていきます。
ちなみにドラマを見て「なんかイマイチ」と思った方こそ原作を読んで欲しいです。
「下剋上受験」でも感じたことですが、どうもドラマとなると中受の世界観はデフォルメされがちというか……。テレビの製作陣にはすまないですが、マンガの方がはっきり言って面白いです。
↓『2月の勝者』についてはこちらの記事もどうぞ。
『翼の翼』朝比奈あすか著――ママの心情にイライラしつつ涙する中学受験小説
中学受験を丸ごと舞台にした小説『翼の翼』が発刊された時は「よくぞ書いてくれた!」感がありましたね。
作者は中学受験入試問題でもたびたび出てくる朝比奈あすか。ページをめくる手が止まらず、1日で読んでしまいました。
勉強もできて運動神経も良い自慢の息子(翼くん)に最難関中学を目指させる話です。目指させる、と書いたのはあくまでお母さん視点だから。
悪い人じゃないんですよ。一般的にはガツガツってタイプでもない。
息子を誉められても「そんなことないです」とか言っちゃう。そのくせ「塾も一番上のクラス(サピでいえばα1みたいな)にいてスイミングも育成クラスにいる私の息子」感にほくほくしていたりもする。
前半はこの母にイライラしっぱなしです。しかし、イライラするのに読む手が止められない。まだ小4とかなのにテスト前に学校休んで勉強させ、最難関クラスにしがみついたり。
中受掲示板ではできる子の親目線で勉強のアドバイスして、鬱陶しがられたり。もちろん、それで自己嫌悪に陥る程度の、本当は気のいいお母さんなんです。
ともあれ、翼君は結果を出す子で模試で全国2ケタ台の成績を取ったりします。
義父母や小学校の親たちは「つーくん、すごい!」の大合唱。「最難関合格は間違いなし!」みたいな。しかし、だからこそ、この後が余計につらい。
ネタばれになりますのでこの辺にしておきますが、6年直前期に読むにはキツイかもしれません。ただ、著者はアンチ「中学受験」ではない。「中学受験」に愛を持っている人だと思う。ラストはちょっと泣きそうになってしまいました。
結局、どの母もここに描かれていることと似たような感情を受験中に繰り返す気はするんです。身につまされるし、わが身を振りかえざるを得ないし、子どもが愛おしくなる小説でもある。中受の母は必読だと思います。
『息が詰まるようなこの場所で』(外山薫著)
こちらはタワマン文学とも言われますが「子どもの中学受験」がテーマの一つともなっていてね。中受親なら時にわかりみが深そう。店頭売切れ続出で一時はAmazonで高値がついていたりしたな。
登場人物は全員タワマン住人。で、メインの主人公の子どもたちがサピックスもどきみたいな塾に通っている。開成筑駒確実ラインのトップ生と最上位クラスにいるものの、そこから零れ落ちそうな子どもと。
言うと思いました。が、鼻につくイヤな奴らかと思えば一人一人の内面にフォーカスするから読むうちに「ああ、同じ人間感」は強くなる。バリバリ受験勉強させることに対し、親たちはみな同じように葛藤を抱えてはいる。
開成筑駒確実ラインのトップ生が「体育がとにかく苦手で」小学校受験全落ちみたいなエピソードも明かされていくし。
言うと思いました。あくまで本編は親目線で描かれますし、中学受験というよりもっと大きな人生の話でもある。それゆえ、中受に凝り固まってしまいがちな親の状況を俯瞰しやすくする効能もありそうです。
『勇者たちの中学受験』(おおたとしまさ著)
中学受験ジャーナリストとして多数の著作を持つおおたとしまさ氏の小説風ノンフィクション。売れてますね。『翼の翼』や『二月の勝者』の著者も帯に推薦文を書いています。
ただ、小説だと思って読むと「うーむ、描写力は朝比奈氏の足元に及ばんな」などという結果になります。物語として読むにはやや浅いというか。
すみませんね。おおたさんはあくまで取材ジャーナリストなのでね。しかも、これ小説ではなくノンフィクションなのでね。
クサしてしまいましたが「中学受験3週間前のドキュメント」としては一読の価値がある。実話です。安全と思っていたところが落ちたり、もうダメだと思ったところで逆転したりと「くー!」という気分になる。
何しろ志望校名も塾名もすべて実名。ネガティブなことも忖度なし。
「某有名塾(※本書では実名。本ブログでは忖度、笑)で結構ひどい目に遭った子ども」の話が出てきたり、「いや、これ書いちゃって大丈夫なの?」とも思う。反面、「よくやった、おおた!さすがのジャーナリスト魂!」という気分にもなる。
巻末にある著者の解説(3組の親子の受験をプロ目線で振り返る)も読みごたえがあります。6年生には特におすすめ。受験直前期のシミュレーションもできそうです。
『「勉強しなさい!」エスカレートすれば教育虐待』(日経DUAL編)
先の『翼の翼』では「子どもになんてことをしてしまったのか……」と悔いるシーンがありましたが、それって多かれ少なかれ皆そうなんじゃないかとも思います。
「『勉強しなさい!』エスカレートすれば教育虐待」によると、小学生の親の半数が「教育虐待をしたことがあるかも」と答えている。
教育「虐待」という強い言葉に若干ひるみますけどね。本書はマンガや保護者の実体験から「行き過ぎ中学受験」を自制します。
「最近、怒ってばっかだなぁ」とか「なんだか子どもも笑顔が少なくなってきたかも」と思ったあなたはぜひどうぞ。
中受を知る!心得を知る!ための「中学受験本」
さて、ここまで自分の主観のみで選んできたわけですが、算数強化法や体験談や漫画よりもまず「中学受験」全体を知りたい!という方もいるでしょう。
『中学受験基本のキ!』――大手塾に通うなら迷わずコレ!
その中で最初のおすすめは「中学受験基本のキ!」
これはね、中学受験4大塾(SAPIX、日能研、早稲アカ、四谷大塚)に通っている子、もしくは通う予定のご家庭なら買った方がいい1冊と思う。
冬季講習や夏期講習の細かいカリキュラムとかね。
早稲アカの夏合宿のキャンプファイヤーの文字が眩しいばかり。費用面も類を見ないほど詳しいですし。小3から小6までみっちり使えます。
↓なお、塾比較は生の口コミを集めた下記のブログもおすすめ。
もちろん、塾のことだけではなく平日や週末の勉強法にも触れている。きたる受験期に向け、併願パターン(これまた詳しい)やなぜか(?)御三家と早慶の出題傾向分析もあります。
その気持ちはわかります。実際、成績に関わらず、難関を志していた子は最終的にそれなりの合格を勝ち取ってる気はしますし。
塾解説あり、勉強法あり、入試分析あり、併願パターンありと、本書は受験1冊目の本としてバランスが良いと思います。
他塾のカリキュラムと通っている塾と照らし合わせたいというマニアックな人にはオススメです。
ただ、「そんなことはしねぇよ!」という向きはいささか損した感は拭えないかもしれません。塾項目抜きにしてもボリュームのある本ではありますが。
『中学受験 親の関わり方大全』ーー3年間を網羅
中学受験を網羅している、という意味で「中学受験 親の関わり方大全」は若干似たタイプではありますね。
入塾テストの受け方から始まり、成績が下降しがちな6年の対処法まで時系列でよくまとまっている。
『実録・中学受験 成功の分析』ー中受ドキュメント
また、「実録 中学受験 成功の分析」も網羅性の高い一冊です。
識者による客観的なコラムもありつつ、実際に中学受験をした11の家庭の実例から学ぶ本でもある。お子さんが使っていた問題集なども載っていますから体験談系が好きな方にもオススメ。
あとは、学年ごとの勉強時間が載っていたり。今後の勉強時間って親が一番気になるところでもありますからね。あ、手前味噌ですが、以下のブログも参考になりますよ、きっと。
『中学受験 6年生からの大逆転メソッド』(安浪京子)
また、今や超売れっ子になってしまった安浪京子氏の著作も好きでした。わが子が小4だった頃はまだ駆け出し(?)で「算数の勉強法」を電子書籍で売っていた記憶。
当時はいまほど電子書籍も普及していませんでしたから横目で見て終わりだったんですが。
確か最初に買ったのは「中学受験 6年生からの大逆転メソッド」かなぁ。この手の勉強本で「楽しんでやることが一番」みたいな精神論が書かれているとがっかりするわけですが、この本はかなり具体的でした。
便利なのが過去問算数の入試マトリックスが載っていたんですよ。難度がわかるようなね。子どもの実際の答案用紙分析もよかった。
ファイル整理の話が載ってたり、リラックスのためのアロマの写真があったり、かなり幅広い。とにかく出し惜しみせず、「自分の知ってる情報をできるだけたくさん伝えたい!」みたいな真摯さが伝わってきて好感を持ちました。
のちに売れっ子になったのも納得です。
なお、当ブログでもテスト用紙公開をやっています(笑)。
『親がやるべき受験サポート』中受スーパー女子?、京子×亮子の本
最近は対談形式のものも多いですね。スーパー家庭教師の京子先生に対し、スーパーマザーの佐藤亮子氏とか。
「時間をかけるべき単元は速さと割合」(安浪)「優先すべきはテストの見直しより今週の宿題。とにかく先へ進む」(佐藤)とかね。具体的かつこの手の本にして前のめりです。
勉強サポートとして「前仕事(解くための準備)」と「後仕事(ファイル整理といったこと)」が大事という話は大いに納得。
前仕事というのは「算数の問題をコピーし、子どもが解きやすいよう、ノート1ページに1問形式に貼り直す」みたいな。これに関してはうちもやったな。
ちなみに、保護者が書いた勉強本には時々ハズレがありますが、佐藤亮子と桜井信一は別格です。
以下の書評でも書きましたが、佐藤さんはやっていることが、気鋭の起業家か偉人並みの凄さでひたすら圧倒されました。
『中学受験を考えたときに読む本』(矢萩邦彦編著)インタビューだからこその本音も?
安浪京子本に戻りますが、結構ズバズバ言っててびっくりしたのが「中学受験を考えたときに読む本」。
5人の識者によるインタビュー本という構成で、京子先生、単著ではいえない(?)本音も出ているようで面白かったです。
わたしは中学受験を基本的にお勧めしていないんです。むしろ、あまりにも不幸になるご家庭が多いので、それを減らすためにこの仕事をしている面もあるといいますか。
(さまざまな塾生を見てきた)経験の上ではっきり言うと、今お勧めできる塾はひとつもないんですよ。
~~「中学受験を考えたときに読む本」矢萩邦彦編著 安浪京子インタビュー
もちろん、フォローはありますけどね。
言えることは「周りが始めたからうちも~といったスタートでうまくいくほど中学受験は甘くないよ」ということ。
ズバッと言っているものの、サバサバとしたお人柄が出ていて小気味いい感じです。
また、SS-1創始者でもある小川大介氏へのインタビューも個別で見てきた人ならの現場目線です。
偏差値や模擬テストの信ぴょう性を尋ねられ、「偏差値は今どのゾーンにいるかという目安でしかない」とか「特に日能研はどんな入試傾向にも当てはまらないちょっとヘンな出題なので」といった話をされていて笑ってしまった。
「(でも、日能研は)首都圏の小学生が四月の段階から受けられる唯一のテストなので(ほかの模試がスタートする前の)6月くらいまではペースメーカーとして使えますね」とか。
インタビューだからこそなのか、編著の矢萩邦彦氏の引き出し方がうまいのか。
いずれにしろ、それぞれの自著には(編集とのやり取りや推敲で「ここまで書くのは言い過ぎかなぁ」視点が入りやすい?)ない面白さのある一冊でした。
『令和の中学受験』(矢野耕平)-ー志望校を決める前に読みたい本
サブタイトルに「保護者のための参考書」とあるように中学受験全般に触れた本ですが、特に「学校の選び方」について他の本より踏み込んだ話が多いです。
そうなのです。
これ、きちんと触れている本はあまりないのではないでしょうか。
たとえば、2020年度の入試。
青山学院の場合、男子の倍率は3・3倍、合格最低点は178点ですが、女子の倍率は5、4倍で合格最低点は200点とか!!
青学だけではありません。渋渋や慶應中等部、成城学園、中央大附などなど本書ではそうした実態を一覧にしている。
別に学校を批判しているわけじゃないですよ。共学人気の中、女の子のお子さんが志す場合はその点を踏まえておいた方がいいと述べているわけです。
ひどいところでは一次試験にしか受かっていない(二次試験は誰も受けていない)のに、合格者数にカウントしていたりとか。ここでは学校名は挙げませんが、著者が直接問い合わせ、その事実を認めたことも書かれています。
※ちなみに学校選びの本(学校案内ガイド)は以下でたくさん紹介しています↓
働くママにおススメの中学受験本
さて、以前「ワーキングマザー」について書いたときに、まとめた中学受験本についても付記しておきます。
「何か良い本はないですか?」とお問い合わせ頂いたものです。
ただ、一口にワーキングマザーといっても環境や立場で変わりすぎるので「間違いなくオススメできる」というのはそう多くはないのですが。
『働くママの成功する中学受験 「仕事と受験サポート」両立メソッド100』
フルタイム勤務者の希望になりそうなのが、コンサルタントをやりつつ、子を難関中学に入学させたメソッド本。
コンサルタントならの切り口で中学受験のPDCAを考えていきます。中学受験って「分析とストラテジー」の繰り返しなわけで、ビジネスと似ていなくもない。
子ども相手ですからセオリー通りにいくわけでもない。けれど、上手に導くことができれば結果はちゃんとついてくるわけです。
まぁ、コーチングの妙なようなところはあるのですかね。そうして、この環境を作るのに仕事上のノウハウが役に立たないわけはないのです。中受の親世代なら管理する側に立っているケースも多いでしょうし。
で、本書では子どもへの声がけであったり勉強法、親のアンガーマネジメント、ママ友や小学校担任との付き合い方、時期別のポイント、おすすめ文具や受験本等々、まぁてんこ盛りです。中学受験3年間をさまざまな角度からサポートします。
ですね。また、「プリンターは中学受験に必須」は同感。本書ではA4プリンターとなっていましたが、過去問の印刷を考えるとうちではA3サイズまでできるものが有難かった。
エプソン プリンター インクジェット複合機 カラリオ EP-982A3 2019年新モデル
『中学受験 やってよかった5つのこと』
分析とストラテジーという意味で本書も似ていなくもない。中学受験全体を俯瞰した前書に対し、こちらは母主体の体験記です。残念ながら中古しかありませんが、子どもへの勉強法がとにかく事細かく載っている。
共働きにターゲットを絞ったものではないのですが、一読して仕事のできる人なんだろうなという実感が湧いた。働くママならのロジックや工夫が感じられる一冊でもある。
そうなのです。
著者のアンダンテさんは働きながら次男と長女の中学受験をがっつりフォロー。エクセルで次男が苦手な漢字トレーニングを作成して渡したり。長女の計算練習用の手帳を作ったり。
ご本人は中学受験に関し「働いていたから大変ということは特になかった」とどこかで書いていた記憶がある。会社でも部下のやる気を引き出すのがお上手なんだろうなと想像してしまう。
それこそ働く母の強みでもあり。
『共働きだからできる 中学受験必勝法!』
誤解を恐れずに言えば、流れ作業のごとく「効率的に進む環境」を作っておきたいのが共働きの中学受験です。
本書は「中学受験は親が9割 最新版
ある意味その通り。
前の2冊が体験に基づくものであるのに対し、本書は現場に近い人間からのメッセージ。共働き流の塾や家庭教師の選び方、勉強の進め方、タイムスケジュールの作り方などに言及しています。
「共働き家庭」という環境は「自分のことは自分でできる」自律の力を育みやすいとの氏の言葉は働く母に嬉しい限りでした。
私学の校舎散歩ーーイラストで学校訪問
これも個人的には絶対買い。「進学レーダー」で好きだったイラスト学校訪問が単行本になったのね。
青山学院とか麻布とか女子学院とかそうそうたる顔ぶれ。41校ね。 ホントは学校案内本のブログで紹介すべきだけど取り急ぎ。
イメージ拡がります。校則のミニ情報やクラブ活動も載ってたりね。留学生たちとチャットルームが週一回とかニッチな情報もある。イラストも可愛く細かく、眺めているだけで楽しいです。
以上、ブックガイドは随時増やしていく予定です。
情報戦で「偏差値足りなくても勝てます」に持っていく
何しろ中学受験は情報を取ったもの勝ち。
良い情報をゲットできたら中学受験は3割程度ラクになります。もっといや「偏差値足りなくても勝てます」状態に持っていきやすくなる。これは大きいでしょう!
うむ。
なので、中学受験本はとにかく読み漁るべし。本棚が中受本ざんまいになる「なんともいえない心地の悪さ」は3年間はガマンすべし。塾の講座の10分の1とかで買えるわけだしね。
もちろん、無料情報もバカになりません。現に私は塾でもらう冊子や通信教育の資料請求でもらえる冊子もかなり重宝しました。
おまけ:資料請求で有益情報が入る通信教材一覧
●玉井式「図形の極」
無料テキスト80ページ分。1冊まるまる届くという素晴らしさ(笑)!図形苦手っこは一度取り寄せておいて損はない教材。
●「ブンブンどりむ」
無料テキスト全学年分。これで国語好きにならない子はいないでしょうというくらい良教材。うちは模試で3位を取れました。
●Z会の通信教育 中学受験コース
時期別に情報冊子は変わりますが往々にして使える。個別並みに詳しい最難関の過去問分析とかね。さすがのZ会レベルです。
●学研の家庭教師
パワポで作った感じの「中学受験Q&A」が意外と役に立つ。「物語文は口調の変化に印つける」「公民は図を書いて覚える」など学習ポイントになるほどと思いました。