こんにちは。今回は算数が嫌いな子、やや苦手な子を偏差値60まで伸ばす前提で進めていきます。
可能です。算数嫌いなうちだって何とかなったのですから。
実を言えば、偏差値60は標準的な問題を落とさなければ取れるのです。模試においては思考力系の難しい問題が解けなくとも取れるのです。
わが子の場合、スピードの徹底でした。徹底的にスピードを意識した後、わかりやすく一皮むけた実感がありました。
思考力が重視されるなか、「速さが!速さが!」というのは逆行しているように思えるでしょう。けれど、速さは大事!
算数嫌いな子の場合、「思考力を伸ばす」のは「スピードを上げる」より、ずっとずっと大変ですからね。
算数嫌いで偏差値60狙い、特に女子ならスピード鍛錬。今回はそんな体験をお話します。
1問30秒で100問を解き、正答率9割だった女子
小5の秋、算数の振替の関係で、偏差値70くらいある子と演習テストを受けたことがありました。基礎レベルの一行問題100問ですね。
で、結果は最上位の子が92点で娘が91点。この話、以前にも書いた記憶がありますがね。
前にも言われた記憶がありますよ。そうして、前にもこう答えました。
点数は健闘でも、掛かった時間が全然違う。最上位の子は50分で娘は1時間半くらいかけてこの点数だったのだと。
つまり、最上位者は1問30秒で解答し、9割の正答率だったのです。
衝撃でした。「もはや全然かなわない」。そう思う一方で、「なるほど。とてもよい情報を与えてくれた」とも思いました。
クラスには100問解くのに2時間以上掛かる子もいたわけです。
ざっくりいえば、最上位者は普通の子が2時間かけてやる算数の勉強を1時間でできるわけです。
ものすごく極端にいえば、普通の子が2年かかる宿題を1年で終わらせるってことです。
すごいでしょう。
処理能力がまったく違うわけですから、そりゃ差もつくってものです。同じ時間内で2倍以上の勉強ができるなんてね。お得にも程があるでしょう。
処理能力を高めれば同じ時間で1、5倍の学習ができる?
で、彼女のワザを普通の子ども向けにアレンジできないかと思ったわけです。
処理能力を高めれば、同じ勉強時間で2倍とはいかなくとも今の1、5倍くらいの学習ができるかもしれないとね。
ちょうどあと半年で6年生。勉強時間は増えてきて、けれど、いずれキツキツになるのも見えてきた頃。「これしかない!」と一人合点した次第でね。
そもそもスピードで勉強時間を短縮できるのも、4教科において算数くらいなものでしょう。
算数において「スピードか?正確さか?」みたいな議論はよくされます。ただ、周囲の話を聞きますと、スピードが速い子は「遅い子よりも正確」であることの方が多いよう。
たとえば、以下はまったくその通りだとも思います。
最上位生の特徴を表すキーワードのひとつに、「処理速度が速い」ということがあげられます。とにかく計算をはじめ、問題を解くのが速いのです。全国模試はほとんどの科目で問題量が非常に多くなっています。ですので、じっくり考えるというよりはすばやく、正確にできる子の方が偏差も高くなります。正確さは当然ですが、頭ひとつ抜けるにはスピードにも磨きをかけるとよいと思います。
――『小6になってグンと伸びる子、ガクンと落ちる子「6年生で必ず成績のあがる学び方」』akira
リンク
特に計算はリズムです。算数が得意な子は独特のリズム感を持っている気がします。ちんたらダラダラやっていると、解けるリズムには未来永劫ノレないような気すらしますね。
計算トレーニングは効果の出やすさ、最強、最速!
で、解けるリズムを作るために、うちで具体的にやったこと。
まずは、前述の100問テストを1か月の間に3回ほど繰り返しました。最後は40分程度で解き終わり、98点か100点だったか。もちろん、娘のことですから覚えていた答えもあることでしょう、絶対にね。
そうだとしても、速く解くリズムのようなものは体感できたよう。
同じころ、処理能力と学習量アップのためにスピードアップ算数基礎 [ 栗田哲也 ]であったり下剋上算数(難関校受験編) 偏差値50から70への道 [ 桜井信一 ]
問題集にある表示時間より速くやることを目標にしてね。塾の復習においても時間は今まで以上に意識してやりました。
そうして、もっとも重点を置いたのは今更ながらの計算練習です。
5年9月の時点で娘の計算速度は「まずまず」。
「まずまず」というのは、塾クラス内の計算テストで上位ではない。けれど、下位ではないということ。テストはスピードと正答率とを競うもので、一番早く全問正解できた者が1位でした。
この1位を狙うべく、1日10問程度だった計算問題をしばしの間、1日20~30問に増やしました。
2、3週間で計算テストは首位争いに名乗り出ましたね。そのポジションは入試まで不動のものでした。
計算トレーニングは効果の出やすさからいって最速、最強です。
一度速度を獲得したら1日20問も30問も解く必要はありません。メンテナンス程度に続けていればスピードは落ちません。
その上、最後にはあきらめたわけですからね。
しかし、かつて分数の還元算がグダグダだった娘でさえ、そうなのです。この当時、5年秋には還元算は普通にできるようになっていましたし。
もう一つ、いいことがあります。
計算が速ければ「自分が算数は得意!」だと子どもは思いやすいのです。勘違いであろうともね。
同じ実力でも「得意だと思ってる子」「苦手だと思っている子」の未来は差がつきそうでしょう。
計算スピードを高めることは算数イマイチな子を伸ばす一番簡単な方法だとも思います。
計算で「数の感覚」を養う
何をおっしゃる、ハンドレッド。ここは賛数仙人の教えをお借りしますよ。
計算を通して養われる力をさらに突き詰めると、それは「数の感覚」であろうと思います。
1884、2198、3768、4082、5652
これらの数に共通することはなにかわかりますか?
(中略)
数を見て、その裏の数の関係まで見えている場合とそうでない場合は、明らかに見えないところで差がつきそうです。ーー『難関中学に合格する「算数脳」の鍛え方』賛数仙人
リンク
ブッー!!
ヒントは円周率ですね。
それぞれ2ケタ目に小数点を入れるとわかりやすいでしょう。
18.84、21.98、37.68、40.82、56.52
たとえば、18.84は6×3.14の答えになります。
いいのですよ、いいのです。
ですが、おうぎ型の求積に慣れた子どもなら「3768」に感じるものがあるはずだと賛数仙人は言います。
われわれは何も感じません。けれど、中学受験の計算に長けた子のなら計算なんかしなくとも、瞬殺みたいな問題が多々あるわけです。その積み重ねが上位と下位との差にもなります。
上位と下位の間には類まれな思考力、もともとの算数センスの差もあるでしょう。これらはなかなか縮まらない。けれど、計算や処理スピードの差を縮めるのは可能です。
もしかしたら追い越すことだってできるかもしれません。
うちは図形に難ありでしたが、図形もそもそもパターンの掛け合わせなので、トレーニング次第でスピードアップできます。
こういうものに日常的に触れていたら図形だってスピードアップできる。
上記は分野ランダムな問題集ですが、5年以下なら図形特化型の玉井式「図形の極」などもおススメしたし。
なんと80Pの太っ腹。進級式で最終的に中受レベルになる。「補助線が見える子」にする構成といい、よく出来ていると思いますよ。
スピードトレーニングの結果、1時間で50問を解けるように
さて、以上のように、スピードを重視した勉強法を取り入れ続けた結果。
6年初めには頭一つ抜けた感がありましたね。実は、この頃って算数が急降下する子も多いわけです。「急降下層が増えた分、順位がのし上げられた」という背景もありましょうが。
単純比較は難しいものの、解ける問題量は増えました。
5年生、算数の勉強時間は平日1時間40分ほど。この時間内に基本から応用まで45~50問(計算10題含む)。
1時間で問題を解き、残り40分で直し、間違えた問題の類題を解く、という感じでね。
当時は模試のごとく黙々とやっておりました。解いた先から親がどんどんマル付けするみたいな流れ作業でね。もちろん、直しが多いと時間内に収まりませんので8割の正答率を目指して問題を選んでいたわけです。
中学受験の親は怖いのです。それについてはあきらめてください。
ともあれ、模試の場合、50分でだいたい30問くらい解きますね。家庭学習では「模試より易しく、模試より多め」を意識しました。
今思うと結構ハードですが、問題の三分の一くらいは「昨日間違えた問題」「一昨日間違えた問題」の反復だったため、時間内に出来るようになっていったのかなと。
もちろん、難度が上れば解ける問題数は減ります。6年になると35問前後になっていった記憶がありますが。
結果、処理能力的には偏差値60の学校を目指すには十分な土台は作れたと思います。入試問題はそれだけでなんとかなるほど甘くはないといえど。
解くのが遅い子の中には金の卵もいる
計算に関しては、数をこなせば誰でも速くなります。かつての娘の還元算のように根本的な解き方が間違ってさえいなければ。
ただ、一方で「じっくり」「しっかり」考えたいタイプの子も存在します。これまでの話と矛盾するようですが、そのなかには真の算数好きが潜んでいる可能性もあります。
これまた娘の塾の話ですが、算数の基礎問題をボロボロ落とす子がいたのですね。問題を解くのも遅くてですね。
先生に「13-7は?」と聞かれ「あ。えっと……5」とか答えるようなね。
娘は最初どんなヌケ作かと思ったそうですが、これまたヌケ作どころか。
基礎問題はボロボロ落とすくせに、後半の誰も解けない発展問題を連続正答したり。結局、半年もしないうちに上のクラスに移動しました。
で、6年になったある日。
算数特訓で一緒になったのですね。演習テストは常にその子が1番。
計算含む単純作業は苦手なはずでしたが、塾や親やらの頑張り、いや、本人の頑張りで克服したのでしょう。基礎をケアレスミスで落としさえしなければ、もう誰もかないません。
しかし、テストをやって解き終わるのは娘より彼女の方が遅いわけです。終了時に全部終わっていないこともある。
けれど、点数つけたらその子が1番!
おっしゃる通りのハンドレッド。
ノロノロ解いているように見えて本人は真剣に格闘している。問題用紙に考えた跡がうかがえる。
仮に間違っていたとしても、その間違いからもしっかり学び取れる。いやはやお得すぎる学習姿勢です。
これ、思い出すのは【個別教室のトライ】
「なんとなく」ではなく「どうやって答えに辿り着くか」を徹底的にトレーニングして子の中にある「金の卵を還す」みたいな。
うむ。最難関を目指すなら、あるいは正しい教育者なら「粘り強さ」や「工夫して考える」プロセスを大切にしてください、ということでしょう。
しかし、家庭で見る場合、あまりにも難度が高い。
わが家の場合、あれこれ試行錯誤したつもりでいたものの、結局、克服できませんでした。その点、親の至らなさなのかもしれない。けれど、子の性格のせいかもしれない。
とにもかくにも5年の時点で「算数好き」要素が見られない場合。それでもなんとか1年以内に算数を上げて偏差値60校に合格したい場合。
教育者と相反することを私は言うでしょう。
思考力のことはいったん脇におきましょう、とね。
繰り返しますがキモになるのは速度です。
ライバルに思考力で勝てないなら「速度で優位に立つ!」
思考力を上げるのは難しいですが、処理能力を上げること自体は難しいことではありません。
標準問題を速く解ければ、その分、難しい大問に割ける時間は長くなる。ミス防止のための見直し時間も確保できるようになる。
志望校との兼ね合いもありますが、この戦略はそう悪くないですよ。あくまで偏差値60までの場合ですが。
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